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2005年09月30日
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カテゴリ:ブラームスの日々
 「いまからメール送りますので,御確認願います!」
 との電話。
 もう7時を回っていたけれど,上もまだいるし,打ち合わせも入っていたし,まあいいか。
 「ではお待ちしております。」
 と丁重に返事。
 15分,待った。
 添付ファイルに添えて何か連絡事項でもベタ打ちしてるのだろう。
 30分,待った。
 まだ来ない。こっちの打ち合わせはもう終わった。
 45分,待った。
 「いまから」と言ったわりには,どう考えても遅い。
 いや,遅すぎる。
 僕の課には同姓の人間が3人もいるので,間違えて違うアドレスに送ってしまったのかもしれない。
 確認の電話を入れなきゃ。
 「時間外恐れ入りますが,〇〇様をお願いしたいのですが,御在席でしょうか。」
 と丁寧に電話を掛ける。
 「申し訳ありません,〇〇はただいま席を外しております。戻り次第折り返し電話を入れさせますので。」
 そうか,急用でも入ったのか。
 それから15分。
 最初の電話から1時間経過。
 折り返しの電話がかかってこない。
 さらに15分が経過。
 待ちくたびれて,隣の部屋に遊びに行く。
 歳の近い同僚と5分ほど軽口たたいて席に戻ると,
 「●●省の〇〇さんという人から電話があったよ。」
 とうちの補佐。
 すぐに電話を掛ける僕。
 が,
 「申し訳ありません,〇〇は・・・」
 いない。
 なんなんだこいつは。
 今度は5分後に電話が掛かってきた。
 やっと捕まった。
 「あの,お申し越しの「メール」ですけど,まだ届いていないようですが・・・」
 「すみません,急な打ち合わせが入ってしまいまして,いまから送らせていただきます。」
 また「いまから」か。
 もう予想はつく。
 あと1時間は来ないに決まっている。
 うちの補佐もくすくすと笑いながら,
 「俺,帰るけど,いいか?」
 「お疲れ様でした。」
 まあよい。
 至急案件でないことはわかっている。
 先々月くらい,こいつら
 「9月中には資料をお届けしますので,調査にご協力を。」
 とか言ってたのだ。 
 でも実は9月の30日の今日の今日になってもまだできてないんだ。
 それでも全府省に対して「9月中には」と言った体面,「いまから送ります!」と言って担当者を待機させた上で「9月中には」というところをギリギリ担保しようとしてるんだ。
 だいたい,時間外に協議を持ってくるのは霞が関のルール違反なんだよな。
 しかも金曜日のもう8時まわっちゃってるぜ。
 いま官房に資料が来たとしても,原局にまいてもだれもいないっつーの。
 だいたい,金曜日の夜にだれが新規案件に手をつけるかって。
 ま,それはわかった上で,月曜日朝いちで動けるように,あからじめ資料に目を通せるだけ通しておきたいから,待ってるんだけど。
 それにしても,遅い。
 おーい,まだかい。
 最初の電話から待つこと2時間以上。
 蕎麦屋の出前の「いま出ました!」の方がまだ早く着く。
 おーい,まだかい。
 何十回目かのメールの「新規メール確認」ボタンを押す。

 あ,やっと来た。

 メール入れたら入れたで電話の一本くらいよこせよな。
 こんだけ待ってやったんだから。
 まあいいけど。
 ああ,もう9時回っちゃったよ~。
 とりあえず,プリントアウトしなくちゃ。
 おいおい,このエクセルファイル,わけのわからんマクロ組んでるわりには,印刷範囲がでたらめじゃないか。
 いらん手間かけさせやがって。
 印刷するのも一苦労だ。
 だいたい,この程度の資料に何のマクロが必要なんだ。
 わけわからん。
 あー,でもこれはちょっと予想よりも重たい案件だな。
 調査の締め切りは幸い1か月先になってるけど,こりゃまたもめるな・・・。
 といつものカウンターパート(原局担当者)のリアクションを予想してみる。
 うーんちょっと過去の資料もよく読みこんで理論武装しとかないと原局にまけないな。
 まき方も月曜日に出て来る係長ともまたひともめふたもめしそうだな。
 今日は係長遅ればせの夏期休暇でよかった。
 いたらそれこそ帰りが何時になるかわかったもんじゃない。
 でもこれはやっぱり月曜日の仕事だな。
 ひととおり目を通したら帰ろう。
 ん?ちょっと待て。
 この注意書きはなんだ。
 「ご参考までに,前回調査時の資料も添付させていただきました。」
 ないぞそんなの。
 電話電話。
 「時間外すんません,〇〇さんいますか。」
 こっちも7時と9時半ではちょっと電話の言葉遣いも違う。
 「はい,私ですが。」
 と電話の向こうで能天気な声。
 「あの,「ご参考までに」って資料がないみたいですが。」
 「あ,それはちょっと上の者がいないので,月曜日にならないとお届けできません。」
 なら最初にそう言え。
 そこをぐっとこらえて。
 「直接この調査とは関係ない参考資料みたいですから,月曜日でかまわないんですが。もうこの時間ですし。確実に月曜日にいただけるのであればそれでいいです。」
 と気付かれない程度にやらかい厭味をこめつつ大人の回答。
 「ではそういうことで,よろしくお願いします。」
 なにが「ではそういうことで」,だ。
 天下の●●省の看板が泣くぜ。おい。
 気を取り直して本チャンの資料に目をとおしていると・・・なんかおかしい。
 まさか・・・でも・・・やっぱり・・・
 間違ってるぞ,これ!
 しかも一個や二個じゃなくて,この資料全体がめちゃくちゃ。
 これ,決裁前はおろかろくに校正もしてないな。
 「9月中には」の体面を気にして超特急の突貫工事で作ったはいいけど,その資料自体使い物にならないんじゃーね。
 いつも気取ってカッコいいことばかり言ってる●●省さんもちょっとボケてきたな。信用ガタオチ。これなら一言ごめんなさいして10月に入ってもよかったんじゃ?とひとごとながらダンドリのまずさを気遣う僕。
 もちろん,もう読む気はしない。
 誰が読むかこんなの!
 資料の間違い探しなんか暇なことしてられるか!
 しかもハナキンに(それでも至急案件だったら黙って付き合うのが霞が関の仁義だが。)!
 よくもこんなもんに付き合わせやがって!
 温厚な「ブラームスがお好き」も久々に怒ったぞ!
 
 でもまあ忙しい●●省さんのことだし同情の余地はある,と思い直す。
 月曜朝いちに
 「とんでもない資料をお送り致しまして大変申し訳ございませんでした!」
 という電話が掛かって来てら許してやろう。
 でなければこちらから
 「どことそことあれをこれと・・・私の不勉強かもしれませんが,念のため一応確認していだけません?あ,ついでにここも。」
 とネチネチやってやるか。

 あ~あ,無駄な時間だった。

 もう10時半を回ってしまったではないか。
 同じく残っていた二つ隣のシマの同期から
 「なあ「ブラームスがお好き」,ええ加減もう帰ろうわい。でもせっかくやけん,いつものラーメン屋で餃子を食うて帰らへんか?」(←四国出身)
 と誘われたので,二つ返事で銀座のラーメン屋に寄ってきた。
 にんにくを使っていないのに香ばしくて美味しい餃子(具がはちきれんばかりにぷりぷりしてる)を出すお店なんだけど,ラーメンも珍しくこの界隈じゃ美味しい(あっさりこってりの塩ラーメンがお気に入り)お店なんだけど,今日のビールは仕事のあとの「くぅ~っ」ていう感じじゃなくて,後味の悪い妙な苦味があった。
 
 まったく。

 役人って,つくづく変な生き物ですね。
 役人同士の不毛なやりとりも,最初のうちは笑えます。
 でも慣れてくると,不毛な仕事を不毛だと気付かず大まじめにやるようになります。
 合掌。


※ 昨日の日記はさすがにちょっと重かったですね。
  今日読み直したら自分でもゲップが出そうでした。
  ちょっと反省。
  あ,もちろん何かあったわけじゃなくて,昔から僕の中にある言葉をちょいと試しに吐き出してみただけなので,お気遣いなく。
  おやすみなさい。





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Last updated  2005年10月01日 03時05分45秒
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