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2005年10月30日
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 久しぶりのブラームス。

 昨日は職場の野球大会。
 一応優勝はしたけど,僕は野球が楽しめるようになった自分自身を発見したことだけが嬉しかった。
 というのは,少年野球と中学の部活とでしばらく野球はやってきたけど,子供のころは全然楽しめなかった。
 田舎の大人しい男の子だった僕にとって野球は半強制みたいなものだった。
 みんながやってるので,やらないと放課後土日に遊んでくれる友達がいない。
 コーチは家庭の不満をぶちまけるようにやたら怒鳴るし暴力的で怖い人だったし。
 (2・3年前,そのコーチが最近年甲斐もなく女を作って蒸発したという噂を耳にした)
 僕は下手ではなかったけど特別上手でもなかったので,「使える補欠」という立場が多かったけど,僕にはそっちの方がありがたかった。
 だって,スタメンで出てボールが飛んできたり打順が回って来たりすると,「試合の責任」が全部僕に回ってきちゃうような気がして。
 そのとき試合の勝ち負けなんか僕にはあまり興味がなくて,ただ「自分の責任を果たさねれば!」という切羽詰った気持ち・強迫観念でやっていた。「僕のせいで負けたんじゃないよね!」という後ろ向きの気持ちしかなかった(実際,僕のチームは弱かった)。必然的に,最後まで野球自体があまり好きになれなかった。生まれつき向いてなかったんだ,と思うようにもなっていた。 
 だから,中学卒業後は,「高校生になったら好きなことをしよう。」と決めていた。
 高校では,美術部の門を叩いた。
(僕は,本当に物心つく前から絵が好きだった。)
 女性ばかりの部で,丸坊主の男子の突然の入部に初老の顧問の先生はいささか驚いていたみたいだったけど,気の弱い僕にしては,不思議とためらいはなかった。
 絵のほうは,「もっと真剣にやっていれば」という思いは今でもあるのだが,そのときは部活が「強制されたもの」ではなくて,「本当に好きなこと」になったことだけで嬉しかった。

 でも,そのいやいやながらやっていた野球おかげで,今こうして職場でレクレーションとはいえ野球大会に顔を出すこともできるんだし,新たな人脈を掴んだり,インフォーマルな連帯感を得ることもできる。仕事の潤滑油として大いに楽をさせてもらってる。
 自然に野球を楽しませてもらってる。
 省内の局部課対抗試合とはいえ,選手として出場し,優勝できたことで,少年期のひとつの呪縛が解けた思いがする。
 ずいぶん大袈裟な言い方に聞こえるかもしれないが。
 僕にとっては,大袈裟では決してない話だ。


 さて,久しぶりのブラームス。

 今日は,『ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲』です。

 渋いです。この曲。とても。

 ひととおりクラシックを聞いている(と思ってる)人でも,知らない人も多いのではないでしょうか?

 この曲のテーマは,「友情と和解」。

 ブラームスのヴァイオリン協奏曲の作曲に多大なる影響を与え,その産婆的役割を果たしたとも言える当時の大ヴァオリ二スト,ヨアヒム。
 そのような伝記的肩書きの前に,ヨアヒムはブラームスにとって唯一無二の親友だった。
 そんな彼らが,こともあろうに大喧嘩をして数年間絶交するハメになってしまった。
 原因は,ヨアヒムの離婚問題でブラームスがヨアヒムの奥さんの肩を持ったため。
 しかし,ただでさえ友達の少ないネクラなブラームス。
 ヨアヒムとの絶交事件は,かなり堪えただろうし,かなり落ち込んだはずである。
 でも,お互いいい年だし,若者のときみたいに素直に「ごめん,仲直りしよう。」なんて言えない。 
 で,そんなブラームスのとった和解の方法は,作曲中だった第5交響曲を(惜しげもなく!)諦め,それをヴァイオリンとチェロのためのドッペル・コンチェルト(二重協奏曲)にアレンジすることだった。
 またヴァイオリン協奏曲のときと同じように作曲上のアドバイスをヨアヒムに求め,それを仲直りのきっかけにしようというわけである。
 もとよりヨアヒムにとっても関係修復は望むところ,彼らの協同作業もと,この曲が生れることになったのでした。めでたしめでたし。

 が,その犠牲になったのは,幻となってしまったブラームスの第5交響曲。
 もしこの事件がなければ,彼の他の交響曲同様,音楽史における金字塔として燦然と輝く大傑作となっていたことは間違いない。
 でも,ブラームスはそんな後世の名誉のための交響曲よりも,唯一無二の親友ヨアヒムとの和解を選んだのだ。
 そう思うと,この曲が余計にいとおしく思えてくる。

 曲は,オーソドックスな3楽章形式。
 魅力的な旋律があるわけでもなく,音色の幅も狭く,ただでさえ渋いブラームス作品の中でもかなり渋い部類に入る。
 でもヴァイオリンとチェロの掛け合いは傾聴に値するもので,そこから自然な感興として生れる旋律は,地味だけど大変美しい。いぶし銀の響き。
 ヴァイオリンは当然ヨアヒムを意識したものだが,チェロのヴァイオリンに対する態度はブラームスその人がヨアヒムに対して語りかけ,和解を申し込んでいるようにも聞こえる。ヴァイオリンにヨアヒムが好きな作品の主題を盛り込んでみたり。

 第1楽章ではぎごちなかったヴァイオリンとチェロとオーケストラの3者も第3楽章になると例によってハンガリー風のおどけた主題のもと渾然一体となって真の協奏曲を形作る。

 この曲は,その背景もその中身も彼ら二人の和解のプロセスであって,ヴァイオリン=ヨアヒム,チェロ=ブラームス,オーケストラ=彼ら二人の動向を見守る周囲の人間たち,と文学的・物語的な聞き方ができるものとなっている。
 
 僕は,好きである。
 この大衆的受けのしない渋い曲が。
 音楽史上の名声よりも友情をとったブラームスが。

 今日のCDは,クレーメルのヴァイオリン,マイスキーのチェロ,バーンスタインの指揮によるウィーン・フィル盤。
 クレーメルのエッチングの線のような繊細かつ力強い鮮烈な音。
 マイスキーの深みのある人間の体温を感じさせる温かい音。(やはり,チェロはこうではくてはいけない。)
 バーンスタインの濃厚な指揮。(この個性的な指揮者についてはいつかちゃんと書きます。)
 で,それらすべてをおおらかに包み込むかのようなウィーン・フィルの美音。
 それぞれが,この曲の本来の美しい味わいをしっかりと引き出している。
 演奏中の3者の自然な姿を写したジャケットが,このCDの素晴らしさを物語っている。



 持つべきものは友である。
 
 結婚式・披露宴・二次会も含めて,友人の招待客のカウント作業は,そのまま友情の近い-遠いを測る作業となる。
 「どうしても呼びたい」という人もいれば,「まあ義理で」という人もいる。逆に,「なんで私を呼んでくれないんだろう」と思う人もいるし,その逆もまたありうる話で,その辺のところが難しい。でも,普段はあいまいだったその辺のところがはっきりする機会でもある。結婚式って,する前よりもした後の方が,意味合いは濃いような気がする。こと,友人関係においては。
 
 持つべきものは友である。

 本当に喜んで結婚式に来てくれる友がいる。
 それだけでも,僕は自然に涙が出てしまうくらい嬉しい。
 僕はあまり友達サービスする方ではなく,どっちかというといつも彼らの世話になっているタイプなので,余計にそう思うのかもしれない。
 今ではみんなそれぞれ自分の仕事があって,みんなそれぞれ自分の生活があって,忙しい身体なのに。
 特に,遠方からわざわざ飛行機を取ったり宿を取ったりして駆けつけてくれる友人の存在は,「友あり,遠方より来る,またよろこばしからずや。」の世界である。
 そんな友人を多数もっていることを改めて確認できる,結婚式。
 面倒くさいという人もいるけど,そういう意味でも,やっぱり結婚式はやるべきだと思う。

 持つべきものは友である。
 
 生涯最高の交響曲作曲を断念してでも,失いたくなかった大切な親友。
 そんな真の友を得たブラームスの生涯は,幸福だったのではないか。
 このドッペル・コンチェルトは,そんなことを考えさせてくれる佳曲である。



 「空気と 水と そして 友達の愛 これだけあったら,弱りきってしまうな」
 (ゲーテ)





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Last updated  2005年10月31日 00時39分06秒
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