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テーマ:好きなクラシック(2316)
カテゴリ:シューベルト
どんな曲かと聞かれても,あまりにも思い入れが強すぎて,上手く言葉で表現できません。 一言だけ言えるとしたら,この曲は「大・ハ長調」,すなわち「ザ・グレート」だということです。 ※「音楽はハ長調の河に流れていく」武満徹 このジャケットはカール・ベームとベルリン・フィルの1963年版で,このころは「第9番」と呼ばれていました。 本当はシューベルトの交響曲は8曲しか存在しないのですが,幻の「第7」の存在を信じて,そしてベートーヴェンの「第9伝説」のために,この曲は長らく「シューベルトの第9」と呼ばれていたものです。 ここ最近になってようやく,「第8」だったD759「未完成」は「第7」,「第9」だったD944「ザ・グレート」は「第8」と,正しいナンバリングが定着してきました。 クラシックってややこしいですね。 カール・ベーム翁の指揮は,この曲の素朴な「ドイツ的美質」(日本的な言い方をすれば剛毅木訥・質実剛健)を過不足なく引き出しています。故郷の祖父の懐のように温かい演奏です。 他にもこの曲は名盤が多く,「天国的長さ」を強調した壮大なバレンボイム版,ストイックで流麗なカラヤン盤,安定感のあるレヴァイン版,全力投球のバーンスタイン版,洗練されたガーディナー版,攻撃的なアーノンクール版,知的にバランスのとれたアバド版,怒れるトスカニーニ版,乾いた重厚感のクレンペラー盤・・・その他テンシュテット,ヴァント,ジュリーニ等々,どれもそれぞれに素晴らしい演奏です。 最右翼ではフルトヴェングラーの1951年版は必ず挙げねばならないものですが,実は彼がもっと凄みをもって暴れに暴れたものがあります。かなり粗いものですが,最高に激しいです。「定盤」に安住せず,探してみてください。 最近では,ロジャー・ノリントンが注目です。前回紹介しました「イタリア」と同じコンサートで聴かせてくれたものですが,まさに目から鱗の解釈でした。この指揮者は間違いなくアーノンクールの上を行っていると思います。ちょっと前にCDが出ていますが,オケの左右の掛け合いとリズムのアクセントで聴かせます。この曲のファンなら絶対に聞くべき演奏です。 でも結局のところ,いつも僕はこのベーム爺のところに帰ってきてしまいます。 なぜなのかはちょっと言葉では表現できません。 ちなみにこの曲,僕の携帯アドレスに拝借しています。 長いので迷惑メール対策に打ってつけです(笑)。 もしこの曲を聞いたことのない人がこのブログを読んで,ちょっとでも興味が湧いてくれたら,是非いちど聴いてみてください。 長い曲ですが,決して難解ではありません。 完成された一つの世界である交響曲の理想的な姿がそこにあります。 この曲によって,あなたの人生がまた少し豊かになると思います。 蛇足ですが,この曲に限らず,音楽とはそういうものです。 芸術とはそういうものです。 知らないでいて困るものではありませんが, それに接することにより私たちの人生をより豊かなものにしてくれます。 私たちはせっかく21世紀に生きているのですから,過去の遺産を享受しない手はないと思いますよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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