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テーマ:好きなクラシック(2316)
カテゴリ:ニールセン
今日は久しぶりに夕方1時間ほど走ってきた。 木枯らしが吹いていて多少肌寒かったが,走るにはちょうどよい季節だ。 いつもの公園に入ったとき,突然僕の頭の中のウンパ・ルンパ(チャーリーとチョコレート工場参照)がこの曲を威勢良く弾き出した。 なので,今日はニールセンの「不滅」。 カール・ニールセン。 デンマークの作曲家。 たぶん,音楽の教科書には載っていません。 でも,この曲はもっと知られてもいい曲です。 最近の映画音楽と比べても遜色のない現代的でカッコイイ曲です。 この曲は,第一次世界大戦下のヨーロッパにおいて作曲され,初演されたものです。 中立国であった小国デンマークにおける戦争の影響は推して知るべしで,貧困,社会不安,モラルの欠如,価値観の変動,そして何よりも人間としての尊厳の危機。 「音楽は生命と同じように消滅し得ない不滅さを持つ」 彼自身のコメントが残っています。 しかし,生命はその死とともに消滅します。 生命は不滅ではありません。 では,ニールセンが言う「生命」とは,何だったのでしょう。 「音楽と同じように不滅なもの」とは? それは人としての生命の尊厳のことではないでしょうか。 人としての尊厳。 気高さ。 誇り。 彼自身は明言はしていませんが,この曲は「人間としての尊厳」を失いかねない戦争に対し,また,戦時下の人々に対し, 「人間というのは,本来この音楽のように気高いものだ。それはいかなることがあっても変わることのない不滅の真理だ。そして,その気高さを忘れないかぎり,人間の尊厳は不滅だ。」 というメッセージが込められているように思います。 でないと,この曲を聴いたあとに沸き起こる,まるで生きる力を与えられたかのような感動は説明がつきません。 今夜は,ブロムシュテット=サンフランシスコ・シンフォニーとカラヤン=ベルリン・フィルの2枚を並べてみました。 ブロムシュテットの深い解釈と明快なバトンにより,サンフランシスコ響は実力以上の感動的な名演奏を披露しています。 特に,フィナーレの二対のティンパニーの連打の掛け合いは,和太鼓集団のクライマックスのよう。激しいというよりも,「熱い」。 このコンビが放った大ヒット。 いや,特大場外ホームランである。 一方,カラヤン=ベルリン・フィル盤は,このコンビが20世紀最高のスーパー・オーケストラ軍団であったことの歴史的証明であり,記念碑である。 弧を描くかのよな第1楽章のメイン主題を限りなく雄大に大きくうならせ,しかも徹底した美音で鳴らしきっているところなど,空恐ろしくなるほどの底知れぬ表現力を見せ付けてくれます。 僕も一時期,カラヤン=ベルリン・フィルサウンドが厚ばったくてイヤミに聴こえて避けていたころがありましたが,この演奏を聴いて目が覚めました。 この2枚はいずれも甲乙つけがたく,欲張りですが2枚同時に紹介させていただきました。 バルビローリの温かい歌も捨てがたいのですが,それはまた次の機会に。 それにしても,単一楽章の交響曲っていいですよね! シューマンの第4,シベリウスの第7など,どれもしびれます! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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