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カテゴリ:ブラームスのひとりごと
突然ですが,私,ビール党です。
きっともっと年をとったら通風になること間違いなしです。 普段は麒麟(クラシック・ラガー)なのですが,最近近所のスーパーでレーベンブロイの安売りやってたもので,ここぞとばかりに買いこんで毎日の楽しみとしています。 レーベンブロイ。 ドイツの老舗のビールです。 炭酸はまろやかですが泡立ちがきめ細かく,ほどよく濃厚な甘味の味わい深いビール,レーベンブロイ。 夏場にはちょっと物足りないかもしれないが,冬に一人で飲むにはもってこいの美味しいビールです。 今夜は僕とこのビールとの出会いの話。 今は昔10年以上前。 当時大学1年生だった僕を,部活の先輩がバイト先のショットバーに連れていってくれた。 体育会系なのにちょっとお洒落な雰囲気を醸し出している,いわゆる男から見てもカッコいい先輩。 さてそのショットバー。メニュー見せてもらっても,はじめて見る単語ばかりでなにを選んでよいものやら。僕がまごまごしていると,その先輩が, 「ブラームスは,レーベンブロイ。」 と注文してくれた。 その選択に特に意味はなかったと思う。 メジャーで日本人向けの味だし,当り障りのないところで,初めてこんなとこに連れてこられてまごつく後輩への思いやりだったのだろう。 店員に対して,周りの客に対して,恥をかかないように。 その思いやりに気付いたのはもっとあとになってからの話だが,そのとき初めて接したその珍しいビールの味がとても気に入って,2・3本続けて飲んだような気がする。その他になにを選べといわれてもわからなかったけど。 そのとき出された(そして生れて初めて食べた)生ハムとカルボナーラの味は,一生忘れられない。こと生ハムについては,それ以降満足できる味に出会ったことがない。 初めて味わうちょっと大人の世界。別世界のようにお洒落で洗練された空間に思えた。 数年後,僕はまだ学生だったが,ちょっと大事な友人のために,背伸びしてそのお店を再び訪れた。 しかし,初回のような感動はもうなかった。 それは僕がちょっとだけ大人になっていたからだろうか。 レーベンブロイ。 その当時,1990年代中盤の九州の学生街には,「近所のスーパーで安売り」なんかしていなかった。 レーベンブロイが飲みたかったら,ちょっと財布に大目に入れて,しかるべきところに足を運ばねばならなかった。 2006年冬,東京。 僕の歳は30を越し,もうそろそろおじさん予備軍登録だ。 今,僕の部屋に何本もレーベンブロイの空き瓶が転がっている。 果たして僕たちは豊かになったのだろうか。 僕にやさしい思いやりをもってレーベンブロイを注文し,ちょっとだけ大人の味を教えてくれたその先輩は,同じ東京にいるはずなのだけど,なかなか会えない。 霞が関のお役人とは違い,大企業のSEは忙しいのだ。 でも僕が九州に転勤する前には,一度会ってまた飲みたいものだ。 「ブラームスは,レーベンブロイ。」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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