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2006年02月16日
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 前回(と言ってもだいぶ前の話だけど),第2回目の日記でジュリーニのブラームス第2番交響曲の魅力について書きました。

 今夜は,ジュリーニの交響曲第1番について。

 その前に,どうです,このジャケット!

 渋いですね~,カッコいいですね~!

 これぞロマンス・グレー,大人の魅力!!

 この写真からはわかりにくいかもしれませんが,彼の風貌は,同じイタリア系のハリウッド俳優クリント・イーストウッドによく似ています(激似です)。

 どっちも同じくらい色気のあるいい男ですが,

 クリント・イーストウッドが“ワイルド”なら,カルロ・マリア・ジュリーニは“マイルド”,WとMを引っくり返しただけで,基本は同じ!

 なんて,馬鹿な話はさておき,

 前にも同じようなことを書きましたが,彼の音楽作りは,一見何の変哲もない淡々としたものですが,なぜか聴き手をドキドキさせる何ものにも代え難い魅力があります。 

 テンポは概して遅め。

 (というよりも,歴代これくらい遅いテンポの人はかの大巨匠クレンペラーくらい。)

 普通,テンポが遅いというと,重厚なだけで退屈な演奏を想像してしまうのですが,彼のすごさはこのテンポの問題をものともせず彫りが深く陰影の濃い世界を形作っていくところにあります。

 しかも,(録音であるにもかかわらず)その過程が生生しくスリリング(まるでロダンの彫刻のよう)で,聴き手をハラハラさせてしまうのですから,その芸たるや,まさに絶妙。

 音楽がいかなる佳境に差し掛かったとしても,まったく動じることなく,悠然として落ち着きはらい,情に流されるということがありません。

 重厚さよりも,気品を感じます。

 第1楽章冒頭のティンパニーの連打(もはや連打とも呼べないテンポだが)から,聴き手を違う重力の世界へ誘う。

 威厳という言葉だけでは足りないもの。

 ダンディズムという形では言い表せないもの。

 そのたたずまい,ふとした仕草,ただそこに居るだけで,人を魅了してしまう,そんな大人の魅力。

 大人の色気ですな。



 ブラームスの第1交響曲は,作曲者が20年以上もかけて作り上げた傑作中の傑作だ。

 しかし聴き手は20年かけずとも,たった50分足らずでこの曲の魅力を味わうことができる。

 ハ短調の第1楽章は確かに重苦しく息の詰まる世界だ。分厚い哲学書のように小難しく理屈っぽいが,そこには豊かな「歌」となる旋律美が所狭しと散りばめられている。この楽章のテーマは「絶望」ではなく,「切望」である。「死に至る病」ではないので,安心して。

 第2楽章は緩徐楽章,物憂げな春の空に流れる雲のようなオーケストラに乗って,ヴァイオリン・ソロが切なく歌う。聴き手は,何も考える必要はない。ただじっと,その世界に浸るだけ。

 第3楽章は,とても特別な世界だ。少なくとも,この「ブラームスがお好き」にとっては。まるで宙に浮いたような感覚。さすらいの音楽。中間部での陰りのある停滞感とその優美な克服。いや,こんな言葉では到底足りない。この楽章を聴いて出てくる言葉は,「もう一度聴きたい。」,それだけだ。「ブラームスがお好き」は,この楽章を書いたヨハネス・ブラームスは間違いなく幸運なインスピレーションを与えられた天才であり,この楽章は彼の最高傑作のひとつだと思っています。

 第4楽章は,よくベートーヴェンの第9のフィナーレに似ている,と,そこかしこで言われる。確かにそれは,ハンス・フォン・ビューローが「ベートーヴェンの第10交響曲」と呼んだこの曲を理解するのにわかりやすい解説もしれないが,この楽章は「楽聖の第9」とはまったく異なる世界である。無形文化財の世界遺産たる「第9」のフィナーレは躍動的でどこまでも人間的な喜びに満ちあふれた世界だが,ブラームスの処女交響曲のフィナーレは,安らかな心の平穏をもたらす大いなる自然の世界。外形的なリズム云々の話ではなく,そこに流れる心拍数が違うのだ。そこに広がる空間も,そこで獲得できる喜びも。

 アルペン・ホルンの響き。

 満たされるという幸福感。

 ジュリーニのこの録音で,味わってみてください。





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Last updated  2006年02月17日 01時26分31秒
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