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2006年06月17日
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 マーラーの第9交響曲について語ろうと思う。

 この一・二週間、この音楽たちが僕の耳について離れない。

 この音楽は、「人生というやくざな考え」を痛々しいくらいに感じさせる。

 第一楽章のもの静かな出だしは、まるで夜明けにちいさな汽船が港からひとり波に揺られながら大海原に向かってゆっくりと漕ぎ出しているような風景。

 旅立つことは宿命なのだ。

 たとえ苦難の連続だとわかっていても。

 凪の日は短く、海はその船を待っていたかのように荒れに荒れる。

 のたうつ波と幾度も幾度も戦いながら、船は傷だらけになっても航海を続けていく。

 ときどき、昔を思い出す。

 のたうつのは波ばかりではない。

 これまで犯した罪や、損ない、あるいは失ったものたち。

 人の心には、さまざまな傷があり、癒えたと思っていたものでも、ふとした拍子に血が噴き出してくる。

 それでも、僕たちは生きていく。

 ひとたび船出をしたならば、進み続けるほかはないのだ。

 人生は孤独な航海であり、波は止むことはない。

 
 でも、人生はそんな辛いことばかりではない。

 楽しかった子供時代の思い出。

 幼いころ家族みんなで遊んだ記憶。

 幸せで満たされた思い。

 それだけが世界だった、郷里の風景。

 無邪気な、あまりにも無邪気な子供たち。

 しかし、ずいぶん残酷な遊びもやっていたものだ。

 毎日が冒険だった。

 懐かしい、たくさんのぬくもりに包まれた記憶。

 そんな回顧的な、第2楽章。


 第3楽章は、ずいぶん荒っぽい。

 これは怒りの音楽だろうか?

 いや、ロンド・ブルレスケの名のとおり、道化の踊りか?

 道化・・・

 僕もこれまで何度か道化をやらされた。

 侮辱・策略・裏切り・悪意・嫌がらせ・・・

 そんな理不尽な攻撃にも耐えてきた。

 ひとつひとつ思い出すだけで嫌なものが胸に込み上げてくる。

 ずいぶん辛酸を舐めさせられてきた。

 殺してやろう、と思うほどの怒りにも耐えてきた。

 今もじっと耐えている。

 でも、やはり、道化になって踊るしかないのだろうか。

 戦う方法は、それしかないのだろうか。
 
 「人生は、悪しき冗談である」ゲーテ。


 第4楽章は、

 「それでも私は人生を愛する!」

 という高らかな宣言であり、それと同時に、

 「もっと生きたい!」

 という粘着的な人生への執着でもある。

 生命としての自己愛と、身近な他者への愛。

 原型としては卑小なものだが、それは巨大な自然愛にまで発展し、広がりを見せる。

 これがもっとも原始的で、原型的な宗教的感情なのかもしれない。

 どこまでも続く、自然世界のグラデーション。

 草木が青々と生えている。

 川が流れている。

 月が夜道を照らしている。

 花が咲いている。

 雲はどこまでも流れている。
 
 それだけなのに、ただそれだけのことが素晴らしい。

 ただそれだけで愛おしい。

 離れたくない。

 美しく輝くこの世界から。

 だが、いつかはそれを乗り越えなくてはいけない。

 それが「死」だ。

 それを克服したとき、われわれは自然の中に帰るのだ。

 ただの土くれに戻るのだ。

 愛おしい自然と一体となるのだ。

 辛い運命も、苦しい旅も、ようやく終わるのだ。

 今こそ、大いなる肯定を行うのだ。

 私は満足だ。私は望んだのだ。これが私なのだ。



 ここで聴こえる音楽は、悲しいとか、美しいとか、そういう言葉を超越した世界である。

 おどろおどろしい人間の生な感情がストレートにぶつけられてくるので、素人さんには不向きです。悪いけど。

 でも、何度も何度も聴くべき音楽だと思います。

 僕も、聴くたびに何かもっと大事なメッセージをとり逃してしまっているような感じがして、まだまだ聴きこみが足りないな、と思います。

 聴いているのは、唯一のバースタインのベルリン・フィル・ライヴです。

 きれいごとではないこの曲に対して、なりふりかまわず全力で立ち向かっていったもの。

 ベルリン・フィルとバーンスタインと、その影にカラヤンと。

マーラー第9

 ちなみに、このマーラーの第9とチャイコフスキーの「悲愴」の構成はとてもよく似ているそうです。
 これを聞いたとき、なるほどな、と手を打った記憶があります。

 未熟な見識と拙い文章ですが、久し振りの更新でした。





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Last updated  2006年06月17日 23時50分53秒
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