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テーマ:好きなクラシック(2328)
カテゴリ:ヨハネス・ブラームスの音楽
僕がまだ高校生だったころのお話です。 実家が農家だった僕は、繁忙期になると、休日は決まって農作業の手伝いをして、 いくばくかのお小遣いを稼いでおりました。 もちろん、CDを買うための軍資金です。 午後になると、ラジオのチャンネルを勝手に合わせ、NHK-FMをかけておりました。 そこで、たくさんの曲を聴き覚えることができましたが、 しかしあるとき、 「これはなんだ!??」 というものを耳にしました。 不思議なリズム感と、ヒロイックで悲劇的な、しかしどこか哀愁漂う、 まったく新しい音楽。 交響曲だったが、その間、最後の音が雑音でひび割れたラジオから鳴り終わるまで、 恥ずかしながら、僕は農作業をしながら感動で震える思いだった。 演奏終了後の楽曲解説によると、第1楽章は4分の9拍子?? それがブラームスの交響曲第3番ヘ長調でした。 今思い出しても、なかなかの名解説で、(たぶん黒田恭一さんではなかったかと思います。) 第1楽章と第3楽章、第2楽章と第4楽章がそれぞれ近似値を持つ関係に触れ、 この曲がブラームスの「英雄」と呼ばれるのは 「きっと第1楽章の「自由にしかし楽しく」の響きよりも第4楽章の「多少ヒロイックな気分」と、ベートーヴェンと同じ「第3番」であることが影響しているのだろう」 という冷静なコメント、 第3楽章の哀愁あるメロディがある映画に使われたことで有名になったこと、 そして最後に、この演奏は朝比奈隆指揮の大阪フィルハーモニー交響楽団であったこと、 を淡々と述べられていた。 それから10年以上経った今でも、このCDを聴くと、そのときの感動を、農作業の土の匂いとともに思い出します。 日本の誇る巨匠、朝比奈隆、老齢にして渾身の浪花節、 名演です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006年09月30日 22時29分47秒
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