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カテゴリ:ブラームスのひとりごと
一次会は無事に終わった。
さて、二次会。 所長に半ば強引にスナックに連れて行かれた。 話も煮詰まってきたので、 そろそろカラオケタイム。 お決まりのパターン。 マイクが一巡して、 「次、ブラームス係長、歌え」 と所長。 「歌いません」 時間が止まる。 僕は僕のせいで止まった時間を動かし始める義務があるので、言葉を続ける。 「カラオケは、嫌いなんです」 「だいいち、歌もしらないし」 「歌えませんので、歌いません」 となるべくきっぱりと聞こえるように、言った。 すると所長、 「あのな、これから「長」と名の付く立場になろうとする人間が、こんなつまらんことで場をしらけさせてはいかん。」 「得手不得手、好き嫌い、主義主張はそれはそれでケッコウだが、場の雰囲気というものがあるだろう」 「ここはもっと大きく考えたほうがいい、と俺は思うぞ」 というちょっとした説教が返ってきた。 「勘弁してください。歌以外のことならば、僕はたいていのことはやれますし、してきたつもりですけれども(笑)」 と僕は切り返す。 「僕の視点の大きさに、うちの役所も付いて来るべきです、そう思いませんか?」 「たまたま今日は相手が僕だったからいいとしても、これをパワハラと受け取られたらどうするんですか?」 「こんなつまらないことにこだわって、場をしらけさせているのは所長じゃないですか?」 「こんなことで引っかかっているようでは、ミミタコの『意識改革』などできるはずもありません」 「所長は、腕のない者に投げろと言うのですか?足のないものに走れというのですか?歌えない者に歌えと言うですか?それがコミュニケーションに必要なのですか?」 ここで課長が「まあまあ」と割って入ってきた。 「うちの係長は固いですから」 「固くなくなったら、ブラームスはブラームスでなくります」と僕。 「しかし、上をめざす者ならばな、お前もいずれは所長になるんだぞ。そのときそんなことでどうする」と所長。 「私は私の矜持を曲げてまで所長になるとか、上を目指そうとかいうことは思いません。そのような私を受け入れられないのなら、この役所はそれまでです」 「なら、それまでなら、お前を受けれいられない職場なら、辞めてしまえばいいじゃないか」 「いいえ、辞めません。たとえ僕が受け入れられなくても、僕が生きる場所はここしかありません。」とちょっとお酒の入った僕。 「僕が正しいと思うことができる職場にするのは、僕の仕事です。あなたの仕事ではありません」 と続けたかったのだが、さすがにそこまでは言葉が続かなかった。 「そろそろお開きに・・・」 という課長の言葉に促され、タクシーで所長を官舎まで送った。 「所長、話の続きはまた、次の機会にお願いします」と僕。 「おう、今度は素面(すめん)でな」 所長、それは『シラフ』って読むんだよ・・・。 所長を見送ったあと、 「もう一軒行こうか」と課長。 でも、いつもの店の提灯は消えていた。 「それにしても、あんなに頑なに(拒否)しなくてもと思ったけど」と課長。 「試したのです」と僕。 「どんな反応するのかな、と思って。予想どおり、がっかりの反応でしたが」 「・・・ま、今度またゆっくり飲もうや」 と言って、初老の課長は自分の官舎へと歩いていった。 不愉快ですね、カラオケの強要。 カラオケを聴くこと自体、カラオケセットがあること自体が嫌いですが、それを「歌え」と強要される雰囲気が、本当に本当に大嫌いです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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