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2006年12月28日
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カテゴリ:ベートーヴェン
 年末気分に水を差すような話で恐縮なのですが、

 一説(しかもかなり有力な)によると、

 第9、すなわち

 ベートーヴェン作曲交響曲第9番ニ短調作品125

 のシンボルとも言うべき

 「合唱付き」の第4楽章は、

 本当は器楽のみの別なフィナーレが用意されていた!?

 という話をご存知だろうか?

 しかもその音楽は別の作品のフィナーレに「転用」されていて、

 今でもそれを聴くことができる・・・ということを。

 私も詳細は詳しくはないのだが、

 作曲者のスケッチの履歴と、調性と主題の近似性から、

 それは彼の

 弦楽四重奏曲第15番作品132の第5楽章

 である、と言われている。

 弦楽四重奏曲15番といえば、

 その第3楽章が「病癒えたる者の感謝の歌」で知られる

 ベートーヴェン後期の傑作のストリング・カルテットのフィナーレだ。

 弦楽四重奏なので、ヴァイオリン×2、ヴィオラ、チェロという編成で

 無駄のない引き締まった響きとなっていることは当然なのであるが、

 もしたとえこの音楽を豪華な4管編成のオーケストラ編成で鳴らしたとしても、

 あの「第9」の「合唱付き」からは地球の反対側の世界にある

 渋く達観した音楽となることは間違いない。

 それほど、両者の世界観には歴然とした開きが存在するのであるが、

 この「本当の第9のフィナーレ」には、「合唱つきの第9」にはない

 俗世を隔絶した憂いをたたえた雄渾さがあり(たとえば「エロイカ」の終楽章のような)、

 ひとつの「結論」として、独自の、圧倒的な存在感を放っている。


 この説を前提とするひとつの意見として、

 「ベートーヴェンの「第9」は実は失敗だった」

 という(ちょっと意地悪な)言葉を耳にしたことがある。

 確かに、音「学」として彼の最後の交響曲を「分析」するならば、

 主題的必然性もなく、前3楽章を全否定し、しかも

 交響曲という場にあってオラトリオのような「合唱」を付けたフィナーレを用意するということは、

 完全なルール違反であるし、「間違った」方法によって作られた「失敗作」だ。

 でも、この「音楽」から名状しがたい感情を「感じる」とき、

 これほど宗教も国籍も超えて、全人類の共感を呼び続ける存在はないであろう。

 それが学問的に「正しい」ものなのか「誤った」ものなのかという問題は、

 疾走する駿馬の尻を刺そうとする虻ほどの存在の小さな邪魔者でしかない。

 それよりも、晩年のベートーヴェンが、この交響曲のフィナーレを

 「合唱付き」の音楽に「差し替えざるを得なかった」

 止むにやまれぬ理由を推察することのほうが、より創造的ではないだろうか。


 さはさりながら、ひねくれ者のブラームスは思うのだ。

 器楽のみの第9のフィナーレのために用意されていた音楽を、

 それを、弦楽四重奏曲第15番の第5楽章としてではなく、

 「ほんとうの「第9」のフィナーレ」として、聴いてみたかったものだ!と。



 写真の録音は、アルバン・ベルクSQの全集から。

 まさに「完璧」な弦楽四重奏の世界。

 彼らは、プロの鏡です。





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Last updated  2006年12月28日 23時41分57秒
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