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カテゴリ:ブラームスのひとりごと
出張で奈良に行ってきた。
奈良は初めてである。 用務を済ませたあと、少し時間があったので、 奈良公園あたりを観光してみた。 五重の塔、大仏殿は巨大かつ緻密な芸術品で、 まるでバッハの音楽のように圧倒的な建築物だった。 でも、肝心の大仏様は、大きいだけであまり美しくなかった。 今回の大きな収穫は、 興福寺 阿修羅立像 をこの眼で見ることができたこと。 この妖艶なまでに美しい仏像のファンは多いけど、 実物を見て、多くの人が心を奪われる理由が少しわかった気がする。 特別な雰囲気を持っている。 そして、生命を持たないはずの仏像なのに、生けるもの以上の存在感があるのだ。 少年少女のように繊細な表情は、怒りか、哀しみか、それとも憂いなのか。 モデルのように細身の身体は、 しかし、下腹部に薄くやわらかな脂肪がついている。 この阿修羅は、生きているのだ。 六本の細く長い腕。 非常に長い腕だ。 通常の人間の1.2倍くらいはあるだろう。 両の肩から三本ずつ生えた六本の腕は、 六本の腕が支配する空間に霊的な緊張感を与えたまま、 千年以上、静止している。 やや猫背の背中を、まっすぐに伸ばしたままに。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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