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2007年03月04日
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カテゴリ:シューベルト
 冬が終わってしまいました。

 今日、山辺でゴルフをしていたら、鶯の鳴き声が聞こえました。

 この不可思議な暖冬で、春の到来のありがたみが薄れたせいか、

 鶯の声に

 「春がやってきた」

 と感じる前に、

 「冬が終わってしまった」

 とつぶやいてしまいました。


 今夜もシューベルトのピアノ・ソナタです。

 第21番変ロ長調D.960

 シューベルト最後のピアノ・ソナタ。

 ここ一ヶ月ほどはまって聴いておりますが、

 聴くたびに、このソナタの情景は冬しかないな、と思ってしまいます。

 彼の連作歌曲集『冬の旅』が描く情景に、とても近いものを感じるのです。

 第1楽章のリズムは、今まさに去りゆく者の歩調のリズムのようであるし、

 その静寂かつ荘厳な旋律と和音は、困窮と絶望の底からようやく振り絞って出した「何か」のようです。

 そういう意味では、このソナタは『冬の旅』よりも成熟した大人の『冬の旅』である、

 とも言うことができるかもしれません。

 僕はこの楽章に、黙して語らない大人の悲壮な覚悟のようなものを感じます。

 第2楽章は、凍気によって止まってしまった時間のようです。

 寒さに凍えながら見る夢は、きっとこの楽章のように美しいことでしょう。

 コーダでは、この音楽が終わることを拒否するかのように、

 名残り惜しく一音一音が置かれては、はかなく消えていきます。

 第3楽章は、まさに雪の結晶の舞い。

 しかしながら、このソナタ中、もっとも現実感のある音楽です。

 第4楽章は、表面上はいささか安っぽく焦燥感に駆られたロンドですが、

 それは泣いている自分を隠すための「擬態」にすぎません。

 シューベルトは、「見せ掛け」と「中身」の音楽を乖離させながら、

 それをしっかりと聴き手に伝えてしまう

 まるでマーラーのような技法でこの音楽を書いているのです。

 シューベルトの天才の、まさに離れ業としか言いようがありません。


 僕が持ってるのは、アルフレッド・ブレンデル。

 手堅いイメージがありますが、老いてもなお飽くなき表現の探求を続ける巨匠の一人です。


 あの凛とした冬は、去っていってしまいました。

 厳しかったけれども、美しかった冬とは、もう会えません。

 冬よ、さようなら。

 次に会うときは、今年よりも凛と美しい貴女であることを、願っています。





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Last updated  2007年03月04日 22時01分34秒
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