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2007年04月14日
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テーマ:お勧めの本(7406)
カテゴリ:ブラームスの本棚
 僕はふだんはあまり漫画というものを読まないのですが、

 この本だけははまって読んでいます。

 山田芳裕『へうげもの』

 主人公は古田織部正。

 織田有楽斎などとともに

 千利休と豊臣秀吉の周辺に必ず出てくるお洒落な茶大名です。

 この本は、歴史の脇役であったはずの古田織部正の視点から

 信長の台頭、本能寺の変、光秀の死、秀吉の天下取り、千利休の野望などが

 「あっ」と驚く新解釈で斬新に描かれていますが、

 僕がもっとも惹かれるのは古田織部の生き様です。

 ひとりの「武人」たらんとする矜持を持っていながら、

 どこまでも自分に正直に「数寄」へのめり込んでしまう古田織部。

 制服組の公務員として一端の人間になりたい、と思いつつ

 結局のところは音楽(芸術)にしか興味が持てない

 自分の姿を見ているようで、

 「お前もか!」と叫びたいような共感を覚えるのです。


 この漫画に出てくる人物はそれぞれ強烈な個性があってみな魅力的なのですが、

 僕はとりわけ明智光秀が好きです。

 当時最も優れた武将であっただけでなく、

 第一級の文化人であった光秀。

 芋茎の味噌汁のエピソードなど、

 その最期は文化人の哀愁が漂います。


 ところで、本能寺の変については、

 何かしら秀吉の策略が働いていたのではないのか、

 という解釈もそれほど突飛なものではなくなってきました。

 本書は大変斬新な解釈で描かれていますが、

 本能寺の変の黒幕には秀吉が(も)いた、と考えてもおかしくはありません。

 でないと、異常とも言える中国大返しや山崎の合戦のスムーズさの説明がつきません。


 話はもとに戻って、

 古田織部正。

 彼の最期は劇的です。

 このまま順調に連載が続いてくれることを祈ります。

 ちなみに、連載は「モーニング」。

 山田芳裕の絵は、好き嫌いの分かれるところだと思いますが、

 お勧めです。

 古田織部の最期については、司馬遼太郎の短編「割って、城を」が読みやすく、詳しいですよ。





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Last updated  2007年04月15日 00時24分27秒
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