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2007年05月02日
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カテゴリ:R.シュトラウス
 リヒャルト・シュトラウスはやはり20世紀の作曲家だな、

 と思うのは、彼の交響詩『英雄の生涯』における

 「英雄の敵」の描き方である。

 もしベートーヴェンなら、絶対にこうゆう音楽は書かない。

 英雄の敵は、ハエかハゲタカのような卑劣で汚らしくてどうしようもない者たち(この種の人間は目が腐るほど見てきた。)。

 英雄を妬み嫉み、嘲弄を浴びせる輩なのだ。

 思えばこの世は、物見高い世界である。

 絶えず衆目にさらされ、決して人目を避けては生きることはできない。

 男は玄関を出たら7人の敵がいるというが、

 それはだいぶ少ない見積もりではなかろうか。

 ところで、R・シュトラウスの音楽は

 「英雄」
 「英雄の敵」
 「英雄の伴侶」
 「英雄の戦場」
 「英雄の業績」
 「英雄の引退と完成」

 と流れていくが、僕が「英雄の引退と完成」のような安らかな響きを聴くことができるのは、

 まだまだ先のようだ。

 僕はまだ、「英雄の戦場」すら経験していない。

 「英雄の敵」が現れたくらいでは、めげてはいけないのだ!


 しかし、この一見派手な音楽は、

 「英雄の生涯」と言うよりも、

 「ある男の生涯」と題することもできるような、

 汎用性の高い、極々人間的な音楽だと思うのだか。

 外見の派手さの影に、心に訴えるものを秘めている音楽であると、僕は断言する。


 夜の12時を過ぎてシュトラウスを聴くなら、

 アンドレ・プレヴィンの大人な語り口こそが相応しい。

 カップリングの「4つの最期の歌」も名演。





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Last updated  2007年05月03日 00時41分41秒
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