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テーマ:好きなクラシック(2328)
カテゴリ:ヨハネス・ブラームスの音楽
というサガンの小説のタイトルには、 「ブラームスみたいに堅苦しい音楽が本当に好きなの?」 というニュアンスが含まれている。 くだいて訳せば、 「そんなに背伸びしてどうするの?」 という微笑み混じりのからかいだ。 ブラームスは好きか? と問われれば、 僕は当然、 「好んで聴いている」 と答える。 僕ももう30代半ば。 別に背伸びをしているつもりはない。 そして、人からブラームスについて問われれば、 まずはこのCDを聴いてほしい、 と差し出せるものを僕は持っている。 それが、ジュリーニがウィーン・フィルを指揮した第4交響曲。 むかし僕が学生で熊本にいたころ(ああ、あの夏の空気が懐かしい)、 街のはずれにあるレコード・ショップでこのCDを手に取ったとき、 カウンターの奥に座っていたオジサンが 「そのCDは、名盤ですよ。」 と低い声できっぱりと言い切ったのを思い出す。 そのオジサンの名科白を裏切らない名演奏であるが、 特に後半の第3、第4楽章の抑制的な遅いテンポが、なんともいえず、気品がある。 敬遠され誤解されがちなブラームスの厚ばったさがない。 今日、職場でふとした拍子に“ウィーン・フィル”という単語が出たときに、 「なんだそれは、食ったら美味いのか」 と茶化した上司がいたが、冗談でもさすがにそれは興ざめすぎる。 いつまでも、「ブラームスは好きだ」と言える大人でいたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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