|
テーマ:好きなクラシック(2328)
カテゴリ:ヨハネス・ブラームスの音楽
クレバーである。 クールとはまたちょっと違う。 感情的だけど、それを高い知性でコントロールし、自由にしかし的確に表現する。 ラトルが指揮したブラームスのピアノ協奏曲は、 このアンスネス盤のほかに、バレンボイム盤、ティマーマン盤の三種があったと記憶してるけど、 ピアニスト・オーケストラの双方においてもその二種に勝るものだと思う。 バレンボイム盤は確かに豪放磊落ではあるけど、ブラームス的な陰鬱が読み取りにくく、 ティマーマン盤はすごく洗練されているけれど、曖昧模糊としてテーマがぼやけて見える。 それに比べて、このアンスネス盤は、若々しくストレートであり、ブラームスの青春(いかにもゲーテ的な疾風怒涛の・・・)の作品の表現に相応しい。 表情の濃淡が「自由でしかも的確」。 オケは確かに少し固いけど、それもこの曲とアンスネスのピアノにぴったりはまっている。 (このアンスネスのブルーを基調とした絵画的表現に、ベルリン・フィルの黄金の額縁はいらない。) この録音は、しっかりと自分を見つめ、自分が何者なのかを知っている、高い知性の持ち主と接したときの、心地よさを感じます。 二月が終わろうとしています。 最近・・・、恥ずかしながら、異動期を控え、周囲の慌しさに着いてゆけず、 自分を見失っています。 感情的になって、多くの人に当り散らしています。 それは十分わかっているけれど、それを止めることの出来ない自分の弱さ。 「本当に高い知性の持ち主は、優れた人格者であるが、 優れた人格者になるためには、高い知性は必ずしも必要ではない。」 という戒めと慰め。 自分は何者なのか、 これから、なにがしたくて、どこへ行こうとしているのか。 それが近頃、ますますわからなくなっているのです。 併録の3つの間奏曲も、かのん111さんのレヴューのとおり、極めて秀逸。 まるでリルケの詩のように、静かに人の感情を波打たせる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[ヨハネス・ブラームスの音楽] カテゴリの最新記事
|