|
テーマ:好きなクラシック(2328)
カテゴリ:ヨハネス・ブラームスの音楽
もし、このベルリン・フィルハーモニー八重奏団員による演奏に初めて接したとしたら、 どのように聞こえるだろうか。 前者を大河のうねりとするならば、 後者は湖の静けさにも例えることができるだろう。 もちろん、水面の下には濁流が渦巻いているのだが。 (そこにはあらゆる奇奇怪怪な生物たちが棲んでいるに違いない) ここでのブラームスは、 シューマンの深淵の覗いてしまったのではないのか。 しかも彼は、幸か不幸か、そこから生還してしまった。 作品が求める引き摺るような第二楽章のメロディーの響かせ方に、最も成功しているのが、 このベルリン・フィル・オクテットによる演奏だと思う。 人に媚びず、俗に落ちず、しかし世を捨てず、地を這い、のたうつ苦悩のブラームス。 第四楽章のヴァイオリンは、第二楽章のメロディーのアレンジであるが、 僕には悲しい鼻歌に聞こえる。 苦悩に終わりがないのならば、とりあえず嘯いてみようと。 無理に明るく振舞ってみせる、周囲を気遣う作り笑い。 このあたりの表現力にも、 土屋邦夫さんも属したベルリン・フィルハーモニーの弦の精鋭たちに 他を懸絶した凄みを感じる。 1966年の録音。 カタログによれば、廃盤のようです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[ヨハネス・ブラームスの音楽] カテゴリの最新記事
|