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テーマ:お勧めの本(7394)
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あるニューギニア人が白人である著者に聞いた、 「あなたたち白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか?」 本書は、この一見素朴だが世界の成り立ちについての本質的な質問に対する、壮大な回答の試みである。 人類の発祥の地はアフリカである。なのになぜ、アフリカ人は万年の単位で後進のヨーロッパ人に征服されるに至ったのか。 小麦の発祥地の地(つまり、最初期に食糧生産を始めた地)は中東である。しかし、今の中東はなぜ石油以外でヨーロッパに勝るものがないのだろうか。 なぜ豚や牛や馬は家畜化できて、サイやキリンやシマウマは家畜化できなかったのか。そして、家畜が人類にもたらしたものとは。 かつて中国では、ヨーロッパよりも先んじて多くの科学技術を持っていた。それなのになぜ、アヘン戦争で植民地になってしまったのか。 北アメリカ大陸のインディアンたちは、ヨーロッパ人に「発見」されて、その土地を奪われてしまったが、なぜ、その逆は起こらなかったのか。 インカ帝国は、統一国家として数十万もの軍隊を擁していた。それなのになぜ、たった百数十人程度のピサロの一団に滅ぼされてしまったのか(著者は、スペイン人ピサロがインカ皇帝アタワルパを捕えた瞬間こそが、人類史上最も「銃・病原菌・鉄」を持つ者と持たざる者の格差が顕わになった劇的な瞬間であったと位置づけており、その瞬間を描いた絵が本書の表紙になっている。)。 などなど。 上記ニューギニア人の素朴な問いには、考察すべき問題がいくつも横たわっている。 著者は、これを順番にひとつひとつ取り上げ、つぶさにその答えを発見することを試みている(現在のところ、著者は、それは絶対的なものではない、という前提に立っているが、いずれの結論においても、かなりの説得力があるものである。)。 読み進むに従って、歴史科学という新しい分野における、 斬新かつ慎重な確固とした見解が次々と示されていきます。 ときたま文章の流れにちょっとしたくどさを感じる箇所もありますが、それは著者の考察の丁寧さの範囲内に留まるものでしょう。 まだ読んでない方はぜひ読んでみてください。 絶対に、面白いから。 なお、著者は「人間はどこまでチンパンジーか」などで有名な、お医者さんだそうです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2012年07月06日 00時05分27秒
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