月に会いに来て…。その2
前項から続きます。
パワフルな歌唱力で、倒れたうさぎちゃんたちをちびうさやまもちゃんとともに目覚めさせる件はものすごい説得力。猫ルナの見せ場は翔とのやり取りもそう。猫と人間の違いを表現するのに佑音さんの華奢さ、小ささが効果的で、賢い猫って感じでしたね。ダンスするシャドーのMARISAさんの動きが本当に猫。しなやかな動きはぴったり。なによりもスゴいのは、ふたりで一役という難しい演出。シャドーと猫、階段になってるセットの上から下への素早い動きをフォローするだけでなく、二人で思いを共有するための良いアイディアだったと思います。またこの物語のいちばんの見せ場、ラスト間際の猫から人間への変化が、とってもかわいらしくて、そこだけでも何だか幸せな気分になれます。くるくるルナ、めちゃくちゃ愛らしいんです。(^-^)
そして、ちびうさ。今回は縁の下の力持ちでもありました。姫子が翔との思い出を回想するシーンの小さな姫子と翔の声、ちびうさとまもちゃんでした。ちびうさ役の小林さんがちょうど声がわりの時期に当たっちゃったかな?(目立たないけど女子にも声がわりがある!)背が伸びると声低くなっちゃうから。ちびうさは他のシーンでもツッコミ役で、コメディ担当でしたしね。あとおいしいのは猫ルナのリードでまもちゃんと一緒にスノーカグヤの攻撃に倒れたお姉さん戦士たちを救うシーン。原作でもあるシーンでしたっけ。
さて、敵方。
スノーカグヤの岡村さんの歌唱力も素晴らしかった。色々なジャンルを歌いこなすカグヤ様の声量と表現力。『かぐや姫の恋人』再演ならカグヤ様を、もし本編を今回の座組で見られるならクインベリルさまを演じて頂きたい。これからもうさぎちゃんとバチバチに戦う姿を見てみたいなぁ…と思う素敵な役者さんでした。ネルケから続投のアンサンブルの皆様の演技も楽しい。白衣姿が板についてらっしゃいますね、もはや。場所が場所だったので無限学園かと思いました。
翔と姫子は、姫子が丸い!22才という年齢設定にふさわしいピチピチした玉井さんのかわいらしさ。歌が緊張でところどころ声が不安定になってたけれど、これは生ならでは。翔役の沖なつ芽さんはこれまでならまもちゃん系にキャスティングされるタイプの方。これはこれでありだけれど個人的にはもう少し見た目大人っぽい方のが良かったかなと思う。大人なのに子どもっぽいギャップにルナは惹かれていく訳だから。
舞台での描かれ方は姫子と翔の親密さはあくまで幼なじみで職場の同僚。原作では恋人同士の二人の行き違いにルナが割り込む形になってかなり切ない話なんだけれど、舞台では幼なじみで翔に思いを寄せる姫子とルナのどちらが翔の心に入り込めるかになってました。だから翔は原作以上に仕事人間で鈍感力ゆたか。全年齢対象での上演だから関係性がかわったのか、役者さんの関係性から来るものなのか…これはどちらだったんだろう?
少し話がそれます。個人的な話ですが、うちの娘が高校の時に演劇部で二人芝居を上演しました。卒業式の当日、男女二人が延々と演劇部の部室の片付けをする話です。意思を持った照明と音響が絡むコメディだったんですが、そのふたりの関係は台本でセリフを読む限りは恋愛がある?という微妙なニュアンス。…娘と共演した先輩とは正直、恋愛のれの字もなく、娘はそれでどう演じるかをめちゃくちゃ悩みました。結果として恋愛については棚上げして演じてたらその辺りは観客がしっかり感じとっていました。
話を元に戻します。
演劇はセリフ以外にも状況を現すニュアンスや距離感があります。
姫子と翔、その同僚たちの間の距離感にはちょっと違和感がありました。姫子より他の女性の同僚の方が近い感じがあったりして。
ナチュラルにセーラー戦士たちが舞台に居たのに対して、姫子は必死な思いつめた感じがすごかったです。
再演があればまた違った感じになるのかもしれません。
ファンとしては『かぐや姫の恋人』再演があればぜひ、舞台を直接拝見したいです。
コロナが終息して、早く気軽に舞台を見にいけると良いですね。