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さて、以前触れた歌織@星見当番さんのところで紹介のご本について、やっと感想をかけます。実は図書館で延長・再貸出しで借りてたのを手放しがたく、ネット書店をあちこち探してやっと楽天ブックスで見つけたので取り寄せました。 タイトルは『チャリング・クロス街84番地』。うちに来たのは今年の4月に刷られた第十刷。カバーはクラフト・エヴィング商會の新しいデザインのでした。 舞台は第二次大戦の終戦まもないアメリカとイギリス。 ニューヨークに住む文筆家の著者と、ロンドンにある彼女のご贔屓の書店との間で二十年に渡って交わされた書簡集。タイトルはその書店の所在地です。 新聞広告が縁で安く書籍を手に入れたい著者と書店との取引が始まります。注文書と請求の覚え書きと言えども心暖まるユーモラスな文体で、著者と店員たちの心の交流が描かれます。古書を主に扱う書店の老若男女六人の従業員とその周辺の人々は皆、ヘーレンに対してなにがしかの手紙を書いて送ったのです。 本を巡る状況や感覚が本好きとそうでない人との差が笑えるし、今にも通じてほのぼのします。 キャリアを重ねた担当店員、フランク・ドネル氏の選書は見事です。 著者の愛した書店は日本で言うならば帙に収められた16世紀頃の『源氏物語』や見事に飾られた法華経の写本を学生にも手の届く価格で扱うイメージの所。羊皮紙製の活版印刷で革や絹の表装の美しい洋古書を扱う店ですが新版も扱ってます。 ヘーレンの本の扱いもまた、潔いなぁと。 必要のない本はさっさと人にあげちゃうし、読む価値がないと判断すればゴミ箱行き。 自分の好みの本、好みの装丁の本だけを拾いあげてどんどん書架を構築していく。 本当に頭の良い人ってタイプの本の読み方なんですよね・・・。 ・・・個人的には納得いかないところが一箇所あるんです。 本の価値についての一節で、本のページを包装材代わりに使う部分があって、ヘーレンは怒るんだけど、フランク氏は引き取り手もない壊れた本だからご安心くださいってところ。 あんまり価値のない本だってことなんだけど・・・ちょっと釈然としなかった。 その理由は別にあるんだけど・・・それはまた別のおはなし。 私自身は、ヘーレン自身の著作の方が読みたくなりました。 本に対してものすごく注文のうるさい人が、どんな本を書いたのか? じつはこの本以外、ヘーレンの著書は邦訳されてないんですよね・・・。少なくとも手にできる邦訳本はこの一冊のみ。・・・文中ではエラリー・クィーンのドラマシリーズのシナリオを書いていたことやアメリカの人物伝の脚本を書いたこと、子供向けの本を晩年に書いたことに触れられています。彼女の書いた本がどのようなものだったのか、どのようなドラマを書いたのかを知りたいと思いました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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