ソイの寄生虫は黒いゴマ?リリアトレマ・スクリジャビニ!
先日久しぶりに食べたソイですが、ソイの事を釣り仲間と話している時にゴマの話題が出たんです。
ソイのゴマとはそう!寄生虫のことです!!
ソイの寄生虫は黒いゴマ?リリアトレマ・スクリジャビニ!
クロソイ捌くと身にいる黒い物質。
ソイを捌くと身についている黒い物質。ロックフィッシングをやる方であれば一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
あれは、身が痛んでるわけではありません。
学名 Liliatrema skrjabini (リリアトレマ・スクリジャビニ)と言われる寄生虫です。
色々調べていたら日本以外にもロシアの研究者論文が出てきました。
ロシアの研究は北方領土にいるクロソイを調べた研究結果でありましたが、少々古かったので、今回は日本の論文を参考にさせていただきました。
↓PDFファイルになります。
吸虫類Liliatrema skrjabini のメタセルカリアが多数寄生したクロソイの一例(短報)若林信一
Bull.Toyama Pref.Fish.Res.Inst.NO.9,41-44(1997)
これは、1995年に富山県で釣られたクロソイを富山県水産試験場に持ち込んだものを観察されたものです。
この黒い物質はヒメウと言われる鳥を終宿主とする吸虫とのことで、メタセルカリアと言われる、生活環における1ステージになります。
その写真を私は持っていなかったので気になる方は
こちらの
水産食品の寄生虫検索データベースさんのサイトをご覧ください。
あ~、これ食べようとしたら、見たことある!!って方も多いのではないでしょうか?
話は戻りますが、若林さんが観察した結果、こう記述しています。
メタセルカリアを内包するシストの大きさは,直径約1mmで,いずれも黒色を呈しており,その内部にL.skrjabiniのメタセルカリアが存在した。頭部を含む供試魚の左体側部におけるメタセルカリアの寄生位置をFig.1に示した。メタセルカリアは頭部から尾柄部まで体全体にわたり寄生しており,その大部分は体側筋と頭部の筋肉に認められたが,眼球後方の皮下,下顎と鰓蓋の皮下,脳と臭覚器官の連絡部付近(両眼球間の軟組織部)にも認められた・眼球内部,脳及び各鰭にはみられなかった。鰓と内臓は除去されていたのでメタセルカリアの存在は不明であった。供試魚の右体側部の横断面におけるメタセルカリアの寄生位置をFig.2に示した。体表面に近い位置に比較的多くみられ,体中心部では少なかった。
引用:吸虫類Lilatrema skrjabiniのメタセルカリアが多数寄生したクロソイの一例(短報)若林信一Bull.TOyama Pref.Fish.Res.Inst.NO.9,41-44(1997)
※強調、アンダーライン、ラインは筆者によるもの
簡単に説明すると、
メタセルカリアを内包するシスト(シストとは包んでいる膜のようなものと思って下さい)の大きさは直径約1mmで、いずれも黒色であり、その中にリリアトレマがいた。
そして、頭部から尾ビレの手前まで全体に寄生しているが、ほとんどは、体側筋と頭部の筋肉にいた。
しかし、眼球内部や脳、ヒレにはいなかった。
と言うことになります。
出典:吸虫類Liliatrema skrjabiniのメタセルカリアが多数寄生したクロソイの一例(短報)若林信一 富山県水産試験場研究報告 第9号(1997)
それを表したのが上の図なのですが、クロソイの左半身において、黒い点のところに寄生が確認されたということです。
結構な数ですね(^^;
個人的な感覚の話ですが、このリリアトレマ、一般的に北海道の沿岸海域では、暖流が入り込む日本海側の水温が高いためなのか、日本海側のソイに多いような気がしますがどうなんでしょうか?
クロソイは低温に強い魚とのことですが、一般的には日本海側のクロソイの方が太平洋より海水温が高いため、成長が早いとされています。そう考えると成長が早い日本海側の方が逆に少ないような気もしますが、その真相が何故だか私にはわかりません。
何はともあれ、このリリアトレマ・スクリジャビニですが人には寄生しないようなので食べても問題ないとのことですが、気持ち的にはよろしくないですね(^^;
とりあえず、今後もご参考程度に釣りを楽しんで料理も楽しんでくださいませ(⌒∇⌒)
まとめこんなの見たら食べたくなくなっちゃいますが、釣り人であれば知識として頭に入れといた方が良いかと思っています。
食の方も安全でありたいですね(⌒∇⌒)
魚に対する愛情や知識も深めることも大切なことです♪
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参考文献
・クロソイ人為繁殖および新規貝類養殖技術開発に関する研究 川崎、琢磨 2018-03-22
・吸虫類Liliatrema skrjabiniのメタセルカリアが多数寄生したクロソイの一例(短報)若林信一 富山県水産試験場研究報告 第9号(1997)
・山口県沿岸域および湖沼河川で採取された異様な外観を呈する天然魚介類の寄生虫およびその他の異常 桃山和夫・天社こずえ Bull.Ymaguchi Pref.Fish.Res.Crt.4.143-161(2006)