非正規雇用が失業者の増加を防いできた?
産経新聞の主張欄で、こんな言葉をみつけました。以下、産経新聞の抜書き―「グローバルな競争にさらされ、企業が正社員の雇用を抑制する中で、非正規雇用が雇用の受け皿となり、失業者の増加を防いできた」しかし、近頃は問題も多いので(二重派遣とか)、「正規雇用と非正規雇用のバランスをとることが法改正にとって大事なこと」と、「労働者派遣法の改正にあたっては、非正規雇用のひずみをただせ」と題して主張されています。問題は、「就職氷河期に正社員になれなくて、非正規のまま、職業訓練の機会もないまま年齢を重ね、20代30代まで来てしまった若者が多い」「このまま、非正規雇用の増加が続けば、将来の生活保護が増加し、国の社会保障負担が増大する惧れが強まる」よって、「早急に対策を講じることは政府の責務」である、と。結び?の言葉として、「国民が生きがいを感じ、安心、安定して働ける社会へ向け、企業側の意識改革も欠かせない、それが、長期的に国が発展する礎であることを忘れてはなるまい」―随所に、国や企業の立場が露骨に打ち出されています。いわく、「非正規雇用が失業者の増加を防いできた」とか「非正規雇用と正規雇用のバランスをとれ」とか「非正規雇用の増加をそのままにしておけば、国の社会保障負担の増加につながる」とか「安心、安定して働けるよう企業が意識改革しないと国の発展が危うい」とか?大事なのは「企業」、「国」、なんですね。労働者ではない。企業や国が安泰なら、そこで働く労働者が多少非正規雇用で差別されていても「全然かまわない!」とでも言いたげではありませんか?「バランス」さえとれていればいいのですから・・・問題はそんなところではないはず・・・労働者のちゃんと働く権利はどうしてくれるのでしょうか?そんなものは、企業が儲けるためには全然たいした問題ではない、と仰るのでしょうね。グローバルな競争に打ち勝つことが前提で、そのために労働者の権利が削られようが命が削られようが、企業の知ったことではない、という姿勢が透けて見えます。同じように、国が立ち行くために人間は尽くすのが当たり前なのであって、人のために国があるのではない、という言葉も聞こえてくるような気がします。産経さんにあっては、人は二の次、企業や国が第一にくるように見受けられます。労働者の権利を第一に持ってきていけない理由は、他に見当たりません。人が生きるために、労働する権利は必需品なのだ(ムロン、ちゃんと働く権利はという意味)、ということをこの「儲け第一の社会」に対し、訴え続けたいと思うのであります。