吉田元首相の国葬の日
それは中3の時でした。その日の5時間目は英語の授業。私達は事前に英語の先生から話があるので帰らないで残っていてくれ、と頼まれていたのでしたが。みんなは、密かに黙って帰ろうぜ、のような暗黙の了解のようなものがあり、いつしかそんな思いが形成されていたのですね、残って先生の話を聞こうという声は一つも聞かれませんでした。そして給食の後、すぐ帰れる準備を誰彼と言わず始めたので、帰るつもりがなかったかもしれない人まですっかりその気になっていたと思います。掃除が終わった途端、一斉に、しかしひっそりと、足早に下校。それこそ忍者にでもなったみたいで、気分爽快、やったぜ、とその日はなんだか愉快でした。が、次の英語の授業の時、もう先生は国葬の話は全くしませんでした。ただ、一部の生徒がみつかり、先生がなにか質問しても答えもなく帰られてしまったと、残念そうにお話された以外は。話を聞きたくなかったかといえば、それほどの拒否感があったわけではなく、ただ単に、折角のサボれる機会を無駄にしたくなかったというか、早く帰りたかっただけのようなことでした。今にして思えば、その時先生が何をお話したかったのか、聞いておけば良かったな〜とその時の自分が残念です。積極的に、誰がなんと言おうと私は帰るぞ、と思っていたのは間違いない、のです。が、雰囲気を壊したくない、という思いもどこかにあって、誰かが強く、話を聞こうよ、といってくれていたら、などと他力本願なことを考えてみたり・・もう他界されてしまい、お話を伺う機会は失われてしまいました。あのときの先生に、ごめんなさい、という思いはずっと残ると思います。