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カテゴリ:思うこと
孤独な画家ユトリロが愛する「運命の女」 ファム・ファタール(運命の女) マリー・クレマンティーヌ・ヴァラドンをご存知でしょうか? マリーは、ユトリロの母で ロートレックやルノアール、ドガ、ゴッホなど数多くの 著名な画家に愛されたモデルでした。
↓ルノアールの作品左がマリー(17歳)、 右はルノアールの婚約者アリーヌ・ジャリコ(24歳)
42歳のルノアールは、モデルのマリーと婚約者のアリーヌと同時進行! 18歳のマリーは、父親不明のユトリロを身ごもり 結局ルノアールと破局。 次にロートレックと浮名をながし、 20歳の時に結婚を迫り、狂言自殺を図る次第・・・ 自由奔放に生きる女! 一方、小さい頃からユトリロは、母に置いてきぼり。 寂しい幼少年期を余儀なくされ 精神状態も不安定だったそうです。 12歳の時には、ストレスから突然暴れだしたり・・・ 15歳の時には、アルコール依存症に。 酒に酔っては、暴れる、騒ぐ、人を名殴るのは当たり前の生活。
(ユトリロ初期の作品↑) 挙句の果てには、酒に酔い潰れる毎日。 さすがの母も心配して ユトリロが入院した病院の先生に相談します。 医師は絵を描くことを進め、 ユトリロは風景画を描き始めます。 ひとえに絵を愛する 母の喜ぶ顔が見たかったから。 しかしユトリロは絵を描き始めても、 アルコールへの依存症は治らず、 マリーも自分勝手な恋愛を止めません。 ユトリロ25歳、マリー44歳。 またしてもユトリロの身に悲劇は起るのでした。 それは、ユトリロの唯一の親友だった ユッテルと母マリーの同棲生活。 尋常ではない事態。 この事件により、 ユトリロは画家としての成熟期を迎えます。 「白の時代」です。 モンマルトルの漆喰の壁、静寂な白い風景
孤独・失望・疎外感・焦燥・愛されたいという希望 いろいろな思いを抱きながら 昔母と暮らした町並みを思い出し ユトリロは絵筆を握ります。 それは、静寂だけどとても優しい風景です。 彼は幼さない頃、 モンマルトルの町で、独りで漆喰の壁の欠片を 拾い集めては遊んでいたそうです。
きっと、母の帰りを待ちわびながら、 拾い集めたのでしょうね。 「私を待っていてくれたの?ありがとうモーリス」 そんな一言が、 とても嬉しかったに違いありません。 後年、ユトリロは友人の質問にこう応えています。
「パリの思い出に何か1つ持っていくとしたら何?」 「それは、ひとかけらの漆喰さ」 漆喰の壁は彼にとって、母への思いそのものなのでしょう。 ファム・ファタール(運命の女)を母として 愛し続けなければならなかったユトリロ。 建物を覆う、漆喰の大きな壁は、 ポロポロと崩れ落ちてゆく、精神的な弱さと ただ真っ直ぐに母を求めた純真さを 物語っているようです。 ユトリロは生涯に数え切れない、 街角の風景を描いています。 終生アルコールに依存しながら・・・・。 ※ファム・ファタールは、運命の女・男の身を滅ぼす魔性の女の意味 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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