‘押入れの ちよ’ 荻原 浩
タイトルが不気味、表紙が怖い!暑い夏にピッタリの、怪談集?荻原 浩の短篇を、初めて読んだ。オカルティックな話あり、ホラーじみた話あり、現実世界の最も醜い恐ろしさあり・・・短篇というと、少し物足りない感じがするものだが、それぞれの短篇の内容がなかなか濃く、膨らませて長編にしてもらいたいような話もあった。読み応えありだ!中でもやはり私が気に入ったのは、表題となっている『押入れのちよ』。引っ越した部屋に出現する、赤い振袖を着た市松人形のような少女。これが・・・恐くないのだ。切ない人生を送った14歳のちよが愛らしく、抱きしめたくなるくらい。『お母さまのロシアスープ』は、最後の落ちにぞっとすると共に、読み返すと新たな悲しみがこみ上げてくる。『老猫』を読んでいる間、終始不快さがまとわりつき、絶対猫を飼いたくなくなる。『介護の鬼』は、正に狂気、ホラーの世界だ。かなり、えげつない!!その他、『コール』 『殺意のレシピ』 『予期せぬ訪問者』 『木下闇』 『しんちゃんの自転車』が掲載されている。