朝日を拝し、夕日を送り、早春の一日が過ぎて行く。
先週までの寒波が嘘のように、立春を境に劇的に春めいて来た。しかし今日は、仕事上の緊急修理の自宅待機で、釣も、長時間の徘徊もかなわず、『春なのに、春なのに、ため息また一つ』と言う、柏原芳恵の歌の一節を思い出した。 7時過ぎに、濁った大気越しに朝日が出た。 一日は家に居りきれず、9時半に近くの室見川中流域に、カメラを ぶら下げて出かけた。橋本にある、橋の橋げたの下で越冬している,イワツバメが陽気に誘われて、多数乱舞していた。ユスリカが羽化しているのだろう。ここでは数年来、イワツバメが越冬していたが、今年の冬の寒さはかつてなく厳しかったが、姿を見られて、その生命力には頭が下がる思いがした。摂餌飛行中のツバメは思うように撮れない。佐々木小次郎のツバメ返しの技がいりそうだ。川辺にはカワセミも複数いたし、モズのオスも繁殖期を迎え毛色が美しい。 昼には帰宅し、写真の整理をした。夕方に今度は室見川下流へ夕日を観に行った。室見川河口近くでは、シロウオ捕り用の簗がすでに仕掛けられていた。早春の風物詩として、全国的にも有名だが、実際は、数年来不漁が続き、見かけだけの漁風景になっている。 室見川には、上流から下流まで多数の井堰がある上に、年から年中河川工事で、泥が川底や河口の海底を覆っているため、シロウオにダメージを与えているのだろう。5時を過ぎると夕日が橋の上から下に沈み、南西の山に没していった。 今日は充実しない一日だったが、それなりに楽しみもあったと思う。後2週間もすると、ハイタカ渡りも見られるだろうし、メバルも釣れだすやろう。春本番は間近かに迫っている。 先日、宮崎でハヤブサが鳥インフルエンザで死んでいたと言う記事が出ていた。鳥を捕食するハヤブサや、ハイタカ類は感染する危険が大きいだろう。恐るべしウイルスだ。 一括りに鳥と言っているが、多数の科に渡って感染させることは、想像以上の力がある。 哺乳類に置き換えれば、牛や、犬猫のウイルスが人間に感染するようなもので、狂犬病のような例外はあるが、めったにないことなのだ。 ただただ、野生動物の生命力に望みを託すしかない。