寄生虫に蝕まれるスズキ。
未明の内に寒冷前線が通過したのか,早朝には雨は殆ど上がっていた。濡れた路面は滑りやすいので用心して走った。 6時前から西浦港内でサビキでアジゴを釣った。餌用10匹と南蛮漬け用20の20匹と、メバル子15匹釣って、7時前から泳がせ釣りをした。曇天ながら風は殆んど無く釣り易かった。 1時間ほど経って、やっと70cm弱のスズキが釣れた。このスズキはこの時期としてはかなり痩せていて、余程逃がそうと思ったが、多分内臓に寄生虫が多数いると予想出来るので、調べたくなってキープした。 その後は何度か当たりがあっても、食い込みが悪く釣れなかった。8時半になって、突然北寄りの風が吹き始め、どんどん強くなって釣りどころではなくなったので、早々に止めた。帰りの水田の上で風に翻弄されるハイタカを見た。かなり痩せたスズキ。このスズキの内臓。上が卵巣で、この時期にしては発達が悪い。襞になった器官は幽門垂と言う消化器官の一つ。下の黒っぽい塊は脾臓。各器官の所々に薄い黄色の丸いものが寄生虫。内臓の周りに脂が全く付いていないのは今頃には考えられない。それ程養分を吸い取られているのだろう。肝臓にも潜り込んでいる。内臓の裏側。胆嚢の右に多数の寄生虫がいる。寄生虫は器官の周りの結合組織に潜り込んでいるものが多い。消化器官以外でも見られる。引きはがした寄生虫は100匹ぐらいいた。オタマジャクシのような精虫のような形で。長さは2cm以上ある。右側が組織に潜り込んでいる。嚢虫あるいは鉤頭虫らしい。最終的にはサメの腸内で条虫になるという。幼生はケンミジンコ(コペポーダ)に入り、それを摂餌したカタクチイワシの体内で子虫となって、これを摂食したスズキの体内で大きくなる。カタクチイワシを捕食する魚なら全て寄生される危険がある。アジやブリ、サワラでも見たことがあるが、スズキが最も多く寄生されている。子の寄生虫が多数寄生すると、養分を吸い取られて痩せてしまい、生殖腺の成熟が阻害されて、繁殖に支障をきたすものと想像できる。魚食魚の消化力は強力ながら、それをかいくぐって感染する寄生虫の能力は恐るべし。これは筋肉には入り込まないし、アニサキスの様にヒトなど哺乳類哺乳類に害をなすことはない。今期はヒラスズキがよく釣れる。20日の釣果、このところボラが良く釣れ、これまであれこれ食べ方を研究してきたが、あまりの脂の乗りの良さから、思い付きで、下処理した後2日間寝かせて鉄火巻きにしてみた。これが非常に美味い。産卵後の大型ボラは痩せていて駄目。体型を見て選べば良い。魚相が悪いと嫌われるボラながら、波止で釣れる魚では間違いなく味は上位。チヌやヒラメよりずっと美味い。先入観にとらわれず試すべし。ただし喰わぬ殺生は堅くするべからずと決めている。外道など無いと思って釣りをしている。ただし、ダツのように煮ても焼いても不味い魚もいることも事実。