本能と学習。
先日の強い冬型の天気が終わってからは気温が上がり、その後は南岸低気圧が発生するなど天気がぐずついて、すっかり春先の気圧配置に変わった。このまま春になるはずはないが、長い目で見れば寒いと言われているこの冬も暖冬傾向にあるように見える。 23日は小雨の中、土曜日の釣りをし、不調のまま辛うじて坊主は免れた。24日は天気が回復しないまま推移し、何時ものようにブラブラ出掛けては見た。 北東の風が強かったので、波が出ていることを期待して糸島市の野北の海岸まで行ってみた。波は2mぐらいしか無かったが、日曜日とあってサーファーは多く50人ぐらいもいた。気の毒なぐらいの小さい波に乗っている。波待ち時間が長そうで気の毒なぐらい。長くは見なかった。天気が回復しないので早々に引き揚げ、帰り道の途中にある横浜の熊野神社へツバキを見ようと立ち寄った。この神社がある今山はツバキの名所で多くのヤブツバキが自生か植えられている。ヤブツバキは木によって花の形、色が異なっていて、気に入った花に出会えることは余りない。 23日は11時から午後2時まで釣りをした。そぼ降る雨は左程冷たくはなく、春雨といった感じだった。わずか2匹釣れたのみ。30cmと26cm。ベランダのスイセン。 先日ニュースでネコとマタタビの関係の新知見を報じていた。マタタビは福岡でも標高300mぐらいの山なら普通に見られる蔓性の植物で、秋には実がなり焼酎漬けにし薬効が有るという。 このマタタビの葉に蚊を退ける成分が有り、それをネコが本能的に知っていて好んでいるのだという。しかも日本に生息していないヒョウのようなネコ科の動物にもこの現象が見られるという。 ほとんどのネコやネコ科動物はマタタビなど生まれて見たことも無いはずで、過去に遺伝的に獲得したもので、学習したものでは無い。何時何所でどのようにしてして獲得した遺伝情報か、疑問は残る。 本能は教えられなくても成長につれて自然に身に付くもので、成長するために必要な餌を摂ることや鳥が飛べるようになることなど、生まれて成長して繁殖するための多くのことが含まれる。 最近本能と学習の両方に関わることに遭遇した。 釣場のネコの家族が3匹いるのだが、このところ釣り人の減少と不漁で餌の魚にあり付く機会が激減して飢えている。左端が父親、中が母親、上が子供。 この冬は西浦港ではコモンフグが秋から大量に発生したのが5~8cmぐらいになり、いまだに多く残っていて釣りの邪魔をしている。 このフグをネコに投げてみた。父親は一切見向きもしないが、母ネコは空腹のときは1,2匹は捕まえて食ってしまう。しかし好んではいないように見える。子猫は生後1年以上経って成獣に近いが、初めは食わなかったのが、母親が食うのを見て少数食うようになった。 ある日のこと、子猫は飢えているのか小フグを2匹食った。そしてさらに12cmのコモンフグも食ってしまった。このフグは多くいる子フグより1年先に生まれているので多分内臓にはフグ毒が有りそうだった。 フグは成長するにつれて、餌にする生物が持つ毒テトロドトキシンを肝臓や卵巣などに蓄えて毒化するという。その為生後数か月なら中毒するほどの毒は無いらしい。 それで母親と子猫は小フグを食っても何の変化も無かった。元々ネコやトビ、アオサギなどフグが落ちていても見向きもしない。これは本能という遺伝的な制止が掛かっている為で、母親猫はそれを振り切る程飢えているか食い意地が張っている稀なケースだろう。 やや大きいコモンフグを食った子猫は、その日は姿を隠してしまった。釣りを終えてテトラを移動していると、やや下のテトラの上に吐き出したばかりの大量の吐しゃ物があった。 どうやら最後に食った2年物のコモンフグに、異変を感じて吐き出したのだろうと推察した。どこかで死んでしまったかもしれないと、帰宅後も心に引っ掛かっていた。 その後子猫は元気に生存していることが分かり、相変わらず釣り魚を狙ってやって来ているが、決して毒が無い小フグにも手を出さなくなった。フグは食ってはならないと学習したのだ。以前にダイサギが小型のフグを捕らえて食ったのを2度見た。過去に釣ったスズキの胃の中に小フグが入っていたことがある。 動物あるいは植物を含めて生物は本能と学習のせめぎ合いで生き残って行くのだろう。 人間はどうか、自ら作り続ける毒に冒されて、いずれは絶滅するに違いない。