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カテゴリ:旅
ようこそ、お越し下さました。 先日まで湖北、 奥琵琶湖とも言われている 静かな地に居ました。 冬には豪雪地帯となると聞きましたが、 今はその真冬になる前の 春を思わせる日差しの優しい 日々が続いております。 この近江地方は白洲正子がこよなく愛した地で、 その著作「隠れ里」の中で結構紹介されていますね。 この里で、私が気になっていたのは 湖北にある 高月町の向源寺。 ここに、とっても素晴らしい 国宝の十一面観音がいらっしゃいます。 本堂の脇の続きに、 新たに作られた宝物殿とおぼしき 建物に鎮座しております。 この観音像は背後も観られるように フロアーの中程に置かれています。 だから、ぐるりとどの方向からも、 ガラス越しではなく 直接間近に観音の背後を見られるのは、 国宝の中では非常に稀だそうです。 蓮華座の上に立つ像の高さは 177センチと等身大です。 やや長めの手は少し違和感がありますが、 腰をひねった姿はとてもしなやかで美しい。 腰から下の曲がり具合、 足先から腰まで、 腰から首まで、 そして頭部と 三曲法がハッキリ見て取れます。 そこから醸し出される優美さは、 奈良の秋篠寺の奈良時代のマドンナと 言われている伎芸天を彷彿させるほど、 肉感的で妖艶な大人の婦女を 感じさせられるのは私だけか。 腰のくびれ、おへそ周辺の肉質感、 そして薄い天衣をまとった豊かな右足は、 今にも一歩を踏み出しそうな気配を見せ、 そのお姿が 仏像という無機質なものから 「仏様」という有機質的な存在 を醸し出しているように感じられます。 平安初期の作という事ですが、 この時代の十一面観音像としても 大変珍しいのではないでしょうか。 ぐるっと後ろに回ってみると、 真後ろは「暴悪大笑相」です。 後ろ姿を見せるという コンセプトに基づき作られたようで、 後ろ姿も一切の手抜きは見られません。 平日の朝一に伺ったのがよかったのか、 丁寧に説明をして下さるガイドさん(地元の方)が、 付きっ切りで説明をして下さりました。 週末には一日に三百人を超える拝観者数だそうで、 手で触れることもできる距離から、 防犯上からも付き添うのでしょう。 そんな忙しい日は拝観者に 説明することすら出来ず、 次から次に見てもらって 出て行ってもらわないと、 とてもこなせないとのこと。 朝の凛とした空気の中で 拝観する機会を得て、 とっても幸せな一日でした。 これは、近くの小谷城址に行く道すがらの紅葉です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.11.22 06:33:38
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