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カテゴリ:旅
ようこそ、お越し下さました。 長々と、草津の湯について書いてきました。 私は埼玉県生まれ育ち故に、 十代のころは数回近場の草津の湯に 接する機会を得ています。 埼玉の人は、温泉と言えば草津や鬼怒川、 水上や伊香保といった群馬県が多かったと思います。 貧しい生活だったから、 せいぜい年一の一泊旅行か。 夕方宿について、 翌午前中には帰路に着くという お決まりの忙しいコース。 だから、急いで宿内の湯に入り、 夕食の宴会に駆け付け、 飲み歌い騒ぎ、 湯を楽しむ余裕はなかった。 今回、改めて草津の湯に 接する事ができて、思う事。 それは、無料で湯を提供し続けている 共同浴場とそれを守っている地元の方々、 更にはそれを温かく見守る行政の姿勢です。 そんなことを身近に体験させていただいて、 「恩送り」という言葉にたどり着きました。 「恩返し」は、受けた恩に感謝し、 恩を受けたその人に恩を返すこと。 「恩送り」は、受けた恩を別の人に返すというもの。 「恩送り」の連鎖は、恩を受けた人は、 また別の人にそれを返す、そして又・・・。 島のお年寄りがよく言う 「おらいの孫が知らない所で 誰のどんな世話に なっているかもしれないから」 と言って、目の前の私や周りの人に 親切に尽くすこと、そのものだ。 草津の湯で受けた恩を、 別な場面で別の人に、 何かしてあげられることをする。 だいぶ前の映画で 『 ペイ・フォワード 可能の王国』 というのがありましたね。 主人公のトレバー少年は、 「世の中をよくするにはどうしたらいいか」 という先生からの設問に、 受けた善意や思いやりを別な3人に“渡す”という、 更にその3人もまた別の3人に“渡す”という 善意のバトンを連鎖するというもの。 この映画では、受けた恩を返すのではなく、 “渡す”と言っています。 この「恩送り」は欧米で再認識され、 ペイ・イット・フォーワード財団が組織されたという。 どうも近頃の風潮で、 近視眼的に目先の損得を基に 物事を選択するのが常識とされている 風潮があると聞き及びます。 仏教の六波羅密という 仏道修行の中に布施というものがあり、 財を施すだけが布施ではなく、 笑顔で人に接することも 布施なんだという教えです。 これを和顔施(わがんせ) と言われるそうな。 優しい言葉で話しかける「愛語施」、 優しさと労りのまなざしで相手を見つめる 「慈眼施」等もあるそうです。 草津の湯は、私にそんな心の持ちようを 思い出させて下さる湯でした。 草津に別れを告げ、中山道の木曽路奈良井宿へ来ました。 平日の朝だったせいか、静かな街並みです。 早朝の小雨交じりの馬籠宿、向かいは恵那山なんだけど・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014.11.13 04:49:20
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