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カテゴリ:徒然うさ
私はミステリが好きで、よく読んでいました。
(今では私の人生がミステリアスと言われるようになってしまいました)〔by○っし~〕 大人になるにつれて、現実と小説が近くなり(主人公と年齢が近くなり)、その一方で、現実と小説の距離が遠ざかるのは失望を感じるところです。 それにしても、現実の私からあまりにもかけ離れた私立探偵が主人公だったりすると、フィクションにもリアリティを求める私には楽しめません。 例えば、黄色ブドウ球菌の私立探偵が、仲間を殺した白血球を追い詰める、といった話には興味が持てないと思います。 通常、私立探偵は人間ですが、長身、優れた頭脳、群がる美女、俊敏な運動能力など、どれを取っても私とはかけ離れた人物像になっており、私への当てつけかと思うほどです。 犯人でさえ、私とはかけ離れた大物だったりするのです。 登場人物の中で一番私に近いといえば、最初に殺される人物くらいです。 その点、ドナルド・ラムは共感できる探偵です。 彼の特徴を挙げると、ハンサム、勇敢、法律知識がある(元弁護士)、機転が利く、明るく清潔、女性に好かれる、背が低い、腕力が無い、金が無い、といったところです。 この九点のうち、私に共通する点が、背が低い、腕力が無い、金が無い、と実に三点もあるのです。 これだけ共通点があるのに、彼がなぜ女性に好かれ、私が好かれないのかは、謎であり、共感できない点です。 それから、彼はいくらモテても、女性に手を出しません。 (小説の中では、そうなっていますが、小説の外では何をしているか分かったものではありません) これも謎ですが、手を出さないという点では、私と同じなので、共感できます。 彼のボスは、バーサ・クールという強欲な中年の大女で、彼女から、もっと稼いで来い、仕事をしろ、金を使うな、女に甘すぎる、などと、しょっちゅう小言を言われています。 まるで、私自身の姿を見ているようです。 その上、悪い連中に殴られたり、警察に逮捕されたりと、ひどい目に遭います。 まるで、私自身の姿を見ているようです。 しかし、絶体絶命の窮地に立たされ、いよいよ進退窮まったとき、彼は知恵と機転で切り抜けます。 まるで、他人の姿を見ているようです。 しかし、私のような人間でも窮地に立たされることは、よくあります。 顧客に説明を求められ、きちんと説明できない、金の使い道を税務署に説明できない、といった窮地もあれば、仕事が無い、金が無い、ローンの返済期日が迫っている、などの窮地もあります。 病気、肥満、加齢、会社設立、女性関係などは窮地そのものです。 しかし、誰でも、解決できない問題を抱えて、窮地に立たされることがあります。 ミステリの面白さは、解決不可能に見える問題が、普通では考えつかないやり方で、鮮やかに解決される点にあります。 ミステリで使われる解決の手段には、暴力、偶然、推理などがありますが、ドナルド・ラムの場合は違います。 暴力に訴えるのでも、偶然に頼るのでもなく、安楽椅子で推理するのでもなく、まして安楽椅子で昼寝するのでもありません。 依頼された仕事が原因で窮地に追い込まれるのですから、私なら仕事を変えるところですが、そういう消極的解決策で逃げるのでもありません。 (私の友人の○ャスミンさんは「男は“逃げる”ものだ」と言いますが、私でも○ャスミンさんからなら“逃げる”かも知れません) (○っし~さんからも逃げるかも知れません) しかしドナルド・ラムの場合は、女性の協力と、法律の知識と、機転が解決の手段です。 いずれも、私には欠けているものばかりです。 これを、どうやって補うか、これが私の大問題ですが、とても解決できそうな気がしません。 残りの人生も窮地に立たされ続けるしかないようです。 (やっぱり、私は“逃げる”しかないでしょう) ≪追記≫ 「ドナルド・ラム」というのは、「A・A・フェア」の書くシリーズの主人公です。 「A・A・フェア」というのは「ペリィ・メイスン・シリーズ」で有名な「E・S・ガードナー」の別名です。 しかし、原作の時代が1960年代なので、実際に作品の中に入り込むのは困難かも知れません。 実は、私が最近、最も愛する男は「シッド・ハーレー」という男です。 「ディック・フランシス」の競馬シリーズといわれる、有名かつ好評なシリーズの中の何編かに登場する人物なのですが、私はその存在を知りながら、競馬に興味が持てなくて長い間、読むのを躊躇っていました。 しかし、読んでみると競馬の知識も不要だし、純粋にストーリーに引き込まれてしまい、さらに主人公に惚れてしまったのです。 「本命」でスタートしたディック・フランシスの競馬シリーズは、「騎乗」までで36作にも及びます。 今も毎年1冊のペースで新刊を出してくれており、そのどれも質の高い作品です。 競馬シリーズは、落ち込んだり、人生に疲れた時に、勇気と元気を与えてくれます。 困難に立ち向かって潜り抜けていく主人公たち。 負けて挫けてボロボロになっても、再び立ち上げって自分を貫く男たち。 困難が待ち受けている人生の単独行の際の常備薬として、本当にヘコンでしまった時の特効薬として、おすすめします。 とくに男には、ぜひ読んで欲しい。 それから、男を再発見(再評価?)したい女性にも、是非読んで欲しいと思います。 一作一作が読みきりで、まさに珠玉の作品集。 ただし、同一人物が主人公となる「大穴」→「利腕」→「敵手」は、この順に読まれる方が年代順ですっきりします。 数多くある作品の中でも、私のオススメは、「本命」「大穴」「利腕」「興奮」「血統」です。 それから、もう一つ、秋の夜長に「男」の研究サンプルを探す読書をしたいと思っている方には、「ロバート・B・パーカー」の「スペンサーシリーズ」もおすすめです。 「スペンサー」なる男は非常に興味深く、私の成長(していると仮定すれば)に少なからず影響を及ぼしたハズです。 このシリーズは、最初の作品からずっと「スペンサー」という私立探偵が主人公ですが、少しずつスペンサーのキャラクターが変わってきます。 ちなみに、この彼の成長は女性に好感されているようです。 なにはともあれ、最初から時系列に読んだほうが、よいでしょうが、膨大なシリーズなので、とりあえず初期の傑作の一つと言われている「初秋」あたりから読むのがいいかも知れません。 この作品を最初に読んだのは浪人時代です。 それから、二度読みましたが、そのたびに感想が違います。 読む人によって、感想が違うとも思います。 多くの女性から、男がらみの質問が多く寄せられますので、私の理想の男の一つの類型として、皆様に示したいと思い、今回は少々違った文章になりました。 追記にオチがないことを、あえてここに付記しておきます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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