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カテゴリ:心の不思議
1992年、アメリカの女性が心理療法を受け、その中で、
「牧師の父から、性的な暴行を何度も受け、二度も妊娠させられた上に、ハンガーで堕胎させられた」 という記憶を思い出しました。 このような悲しい事例は、カウンセリングの現場で時折見られるものですが、この話には続きがあります。 その後、彼女が病院で検査を受けると、なんと妊娠した事実は無いと判明したのです。 彼女はカウンセラーを告発して、1996年に百万ドルで和解が成立しました。 カウンセラーは記憶の捏造を否定していますが、彼女はカウンセリングの過程の中で、偽りの記憶を作り出されてしまったのです。 (偽りの記憶を思い出してしまったのです) 実は、多重人格なども、(下手な?)カウンセリングによって作られる可能性が指摘されています。 深層心理を探り、無意識という(本人の知覚できない意識を)カウンセラーが判断することが、記憶を生み、人格を生んでしまうのです。 このような事例は多いといいます。 私が以前、よしよしさんの質問に答えて、フロイト風の分析を書きましたが、あのようにワザとふざけて信用できない文章にしたのは、この危険を考えてのことです。 いくら私が信用に値する立派な人物でも、盲目的に信じてもらっては危険なのです。 (以後、私を信用しないで下さい) (でも、もう少し信じても構わないと思います) ふつう記憶は自分自身の体験によって形作られたものです。 自分の記憶を疑う人は、私ぐらいでしょう。 (私は、確かに、ラテン系日本国籍のスコットランド人だし、大金持ちだし、大勢の女性にモテた、と記憶しているが、最近少し疑うようになってきた) ここで、ある実験を紹介しましょう。 ロフタスらが行なった実験では、あらかじめ被験者の周囲の人から、子供の頃に起きた実際の出来事を聞いておきました。 次に、その実際の三つの出来事に「五歳の頃にデパートで迷子になった」という架空の出来事を加えた四つの物語を文章にして、被験者に読んでもらい、その出来事について憶えていることを書いてもらいました。 その結果、実際に被験者が体験した出来事の68%が思い出されただけでなく、29%の人は、架空の出来事についても“思い出した”のです。 その後、二回にわたって行なわれた面接でも、この作られた記憶は、ほとんど維持されていました。 あなたの記憶は本物ですか。 (私の記憶も自信が無くなってきました) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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