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カテゴリ:徒然うさ
最近の私は、どうでもいいこと(仕事の約束など)は憶えているのに、大切なこと(女性の誕生日など)が憶えられません。 今日もメモを書いていて「コミュニケーション」なのか「コミニュケーション」なのか悩みましたし、昨日は「退職金規程」と書くところを「退職金規定」と書いてしまい、一歩間違えば顧客からの信用を失うところでした。 (もともと信用が無かったのが幸いでした) 一昨日は手帳に「監」という文字を書こうとして愕然としました。 どうしても書き方を思い出せないのです。 どうもおかしい。 「薔薇」や「羊羹」を書こうと思って書けなかったことは一度もないのです。 (もちろん、書こうと思ったことがないのです) 漢字が書けないときは、やむなくカタカナや平仮名を使っていますが、最近でも「じゅ」と書こうとして「じぇ」と書いてしまったことがありました。 こういうことは小学校のとき以来の経験です。 きっと、私は若返っているのでしょう。 最近では、もっぱら文字を書くのはパソコンに頼りきっています。 何でも機械まかせにしていると、人間の能力は低下するのです。 考えてみれば、今や、改札からジグザグ縫いまで、ほとんどが機械まかせです。 現在、電気炊飯器を使わないで米を炊ける者が何人いるでしょうか。 飛行機を使わないで空を飛べる者が何人いるでしょうか。 自転車を使わないで自転車に乗れる者が何人いるでしょうか。 危機感を抱いた私は事務員の中田さんに警告しました。 「そうやってパソコンばかり使っていると、文字が書けなくなりますよ。“薔薇”と書いてみて下さい」 「書けません」 「そうでしょう。もう兆候が現れていますよ。そのうち“じゅ”と書けなくなります」 中田さんの顔に不安の色が走るのが見えました。 珍しい現象です。 私はたたみかけるように、機械に頼る危険性を説明しました。 中田さんは心配そうに聞いています。 私が話している間、つまみ食いも居眠りもしません。 明らかに感銘を受けている証拠です。 説明が終わると彼女が言いました。 「それって、社長のボケが始まっただけじゃないんですか」 「なんてことを言うんですかっ。私は中田さんより二つも若い。第一、だいぶ前からですよ」 「前から、佐々木さんの仕事を忘れて遊んでましたけど」 「どうでもいいことは忘れることができるまでに成長したんです。中田さんの名前を憶えているのが不思議なくらいです」 「この前も、打ち合わせに資料を忘れてたそうじゃないですか」 「そんな憶えはありません」 「でも、先方の社長がおっしゃってましたよ。『おたくの社長は仕事する気があるのか』って」 「そんなバカなこと・・・があったかも知れません。よく憶えていませんが」 「ついこの前ですよ。忘れるのが早すぎませんか」 「忘れる時は一秒で充分です。ついさっきも車に乗る時に、素晴らしいアイデアが浮かんだんです。それが、乗ってエンジンをかけた時には、すっかり忘れていました。ボケていたらこんなにも素早く忘れられる訳がありません」 「つまらないアイデアを一秒も憶えているのは無駄ですもんね」 「どうしてつまらないと断定できるんですか。私は素晴らしいアイデアに限って忘れてしまうんです。どこまで不運なんだろう。だから貧乏なんだ。実に惜しい。中田さん、思い出せませんか」 「社長が忘れたことを、私が思い出せるワケがないでしょう」 この後も、延々と下らない会話を続けました。 こんな会話の相手に給料を払っている私は、やはり相当ボケているのかも知れません。 それにしても、どうしても、みっちゃんの誕生日が思い出せません。 まこちゃん、ゆかちゃん、あーちゃん、きーちゃん、かおりちゃん、いっちゃん、ちぃちゃん、ゆうちゃん、あいちゃん、ゆりちゃん、みいちゃん、ゆみちゃん、めっちゃん、ちびちゃん、・・・(順不同敬称略)そのほかにもたくさん・・・。 人生には、憶えきれないほど重要な事が多すぎるのかも知れません。 ≪註≫ 上記にあなたの名前がなかったワケは、(私の心の中では、あなただけ特別に、)あなたの名前と違う愛称で呼んでいるからですよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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