彼をどう手助けできるか・・・
考えた時に、それまでバラバラだった3つのピースがつながりました。
ピース:その1はメッセージから。
そして
【ピース:その2~刻まれたもの】
私達は、目の前から消えれば、それがわが身に関係なくなると思い勝ちですが、実は、リアル(現実)の世界には『幻肢』という現象があります。
これは、幻の肢(身体)と字の如く、事故や疾患等で手足が無くなった後も、其処に無くなった手足があるように生ナマしく感じ、『動かせる』という症状を言います。
兎月は、以前通称『手の外科』と言われる、手指や腕の切断・再接着などを行うやや特殊な医師の元でリハビリ業務をしていたので、実際にこの症状を持つ方々に出合った事があります。
無くなった4本の指が、硬く握りしまり掌に爪が食い込む痛さを感じていた方。
無いはずの親指が痛くてたまらない方。
このように、幻肢が激しい苦痛を生じる場合を『幻肢痛』といいます。
リハビリではその『見えない手や足』も治療したり、有効利用する事があります。
幻肢についての論文は少ない中、比較的読みやすくて『脳で起きる不思議な出来事』をかいている本があります(リハビリ関係者や病院関係者の方は、ちょっと見てみてもいいかも。
以下はこの本の中にある実話の一つです。
ある著名な医師が居た。
彼は、バージャー病(ふくらはぎの筋肉に強い脈動性の疼痛が起きる病気)の為にズキズキと痛む痙攣(けいれん)を起すようになった。
色々な治療法を試したが痛みはまったく治まらず、絶望的になったその医師は足を切断す決心をした。
それ以上、痛みを抱えて生きていく事が出来なかったのだ。
彼は、同僚の外科医に相談をして手術を決め、そして特別な頼みごとをした。
『切断した足をホルマリン容器に入れて、渡して欲しい』と。
外科医は承知して、切断した足を保存容器に入れ、彼に渡した。
医師はそれを自分の研究室に置き
「さあ、ついにこの足を眺めて『とうとうお払い箱にしたぞ』とあざ笑ってやれる」と言った。
しかし
最後に笑ったのは足の方だった。
ひどい脈動性の痛みが幻肢に戻ってきたのだ。
>>>>>>>>>>『脳のなかの幽霊』第3章幻を追う P87より抜粋>>>
無くなっても、見えなくなっても、自分から捨てても・・・
それが課題であったり、余りにも強いものであった場合・・・
この幻肢の様に、現れる時があります。
【彼は気がついた。無くなった、自ら『排除』したはずの、あの忌々しい「心の痛み」がまだある事を!!!】~前回の日記より
この彼の心の痛みは、その幻肢を思い出させました。
【ピースその3:ドラマの題名】
TVを殆ど見ない。ましてドラマは一切みない兎月。
その兎月にここ数日あるドラマのタイトルが何度も耳に入って来ました。
そのドラマは『ヴォイス・命なき者の声』
どんな内容かな~と、PCで見てみたら心霊物ではなく(すんません
遺体の検死から色々な情報(声)を得ていく法医学生のドラマでした。
兎月の所に来た彼の事を想っている時に、
その事が唐突に浮かびました。
そして、ふと思ったことは・・・・
『命なき者はいない・・・・』と言うことでした。
『肉体の無いもの』はいる。
けど、命=魂の無いものは居ない。
ドラマの批判とかでは全然なく(本当です)、
肉体が無くなっても、
命は存在し続ける。
そう、強く感じたのです。
>>>>>>
彼女(兎月)は大きく息をすった。
そして、彼に話始めた。
職場に向かう電車の中で。
誰も一人で座っている彼女が「話している」とは思いもしないだろう。
〇〇さん。
貴方は、痛みから離れられると想ったのですね。
そして、最初はその自由に喜んだ。
けど
幻肢の様に、その痛みは貴方から離れる事が無かった。
命なきものは無い
肉体は無くても、貴方の魂はなくならない。
貴方の魂は切り離す事は出来ない。
肉体の眼は閉じる事が出来ても
魂の眼を閉じる事が出来ない事が、分かりましたね。
『彼は頷いた。』
多分、貴方が、貴方の課題を済まさない限り、その痛みは消えないでしょうね・・・。
そして、その痛みがゆえに、光るわが子には近づけないのですね。
貴方は、貴方の手で掴み、貴方の足で進まなくてはいけない。
肉体は無くなっても、魂の手足はあるのだから。
<では、どうやって課題をといたらいいのか?
彼のハイヤーセルフも「手伝えない」と言った。>
メッセージの文章が浮かぶ。
【あなたの心にはあなた自身がもって来た宝物がある】
【それは貴方の心を照らしてくれる】
【その貴方の思いが、今、尊く、あなた自身を導く。
心がソラの様に静まったら、手を握って胸にそえ、自分の中の夜空に探そう】
彼女は心の中で、彼に向かって叫んだ。
貴方の中に貴方がもって来た宝があります!
貴方自身を照らしてくれる!
そして、大事なものを照らしてくる宝が!
探してください!
夜の様に静かな心で、深く、深く・・・貴方の中の光を探して下さい!
そして・・・見つかったら私に教えて下さい。
彼は頷き
そして、彼女の中からひと時、その存在が消えた。
彼女は駅を出て、職場に向かって歩き出した。
しかし、彼に「そう」言ったものの・・・
実は、彼女自体不安を感じていた。
本当に、「それ」で彼の心の次元が上がるのか?
人を死においやった大きな苦しみが、そんな事で解消するのだろうかと。
職場について、仕事の準備をしている時、
『合図』があった。
彼が帰ってきたのだ。
それと共に、
大きな
大きな
喜びが胸に沸き起こった。
それは、けっして彼女の心から生まれたのもではなく、
今、シンクロしている『彼の心』から生まれたものだった。
とても
とても『嬉しい気持ち』
彼女自体、こんなにワクワクする思いは久しぶりだと思うほどの
『心躍る、喜びの感情』だった。
「みつかったの?」
彼は大きく頷いた。
微笑んでいる感じが伝わる
子供の所にいけるんです!
と、彼は言った。
子供の所にいけるんですよ!
「良かったね!。すごいね!よく自分で見つけたね!」
自己の光を見つけた事で、彼は彼の中の「真実」の一つに気がついたのだろう。
その光=彼自身の光が、彼をわが子の光のレベルまで引き上げたのだろう。
「そのレベルになれば、転生や、上の世界にいけるね。
どうする?いく?」
そう尋ねる彼女に、彼は答えた。
<子供が人生をまっとうするまで、守護していきたいです>と。
「そう、それが貴方の決断なんですね。」
彼は頷いた。
彼はきっと、その役目を出来るだろう。
「よかった。これでお別れですね。お子さんの傍で頑張って下さい」
お辞儀をして去っていこうとする彼がふと振り向いた。
『セッションの対価の代わりに、この話を載せて下さい』
そして
彼は愛するわが子の元に向かったのであった。
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命なきものはない
肉体がなくなっても
魂のまなこを閉じる事は出来ない
今までずっと頑張ってきた道のりを捨てないで
肉体の歩みは止められても
魂の時間は止められない
手を握って胸にそえ
自分の中の夜空に探そう
あなたの心にはあなた自身がもって来た宝物がある
【命なき者は無い~Fin】