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カテゴリ:お題
私は、好きな人と帰る方向が同じになるという幸運に恵まれた経験がない。 だからいつも後ろ髪引かれながら想い人の背中を見送るのは、校門だとか会社の通用口だとかそういった、今まさに帰り道がはじまろうとしている、というポイントで。なんとなく物足りない思いを引き摺りながら岐路についたものである。 逆に、好きでもなんでもない近所の男の子とたまたま帰りのタイミングが重なって、ちょっとした悪戯を繰り返しながら道を歩く事はちょくちょくあった。 学校ではお互いのそういう関係が周囲に知られないようにただのクラスメートとして素知らぬ顔を決め込んでいた事実もあいまって、ああいう時はなんともいえない秘密を共有している共犯者同士のような、親密な感覚を双方が持ち合わせているのが分かってドキドキしたものだが、今思うと私は何故にその男の子の方を好きにならなかったのだろう。 不思議なものだが、ある意味いつでも手の届く範囲の相手に対しておいそれと恋愛感情というものをくすぐられない私の性格は、子供の頃から変わっていないのかもしれない。 どこか遠い存在だからこそ、安心して恋心を抱ける。 そんな私はいつでも真性の臆病者なのだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005年06月02日 04時00分09秒
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