有為メモ。

朝はすこぶる気分の悪い頭でカロリーメイト（チョコ味）二本を豆乳と野菜ジュースを混ぜて作ったドリンク一杯で喉に流し込む。コップを洗ったら朝食後の薬を服用。ついでに偏食でもないのに栄養の偏りを危惧して購入したサプリメント少々。


昼は大抵固形物を食さず豆乳入りミルクティーもしくはその他オリジナルドリンクで済ます。また食後に薬。


夜くらいはまともな食事が摂りたいと思うは思うのだが、自宅の設備といえば冷蔵庫と電子レンジのみ。体力のある時は渋々母屋まで自炊をしに向かう。


母屋のテーブルの上には菓子箱と母親のメモ書き。
「くうきちゃん、―――さんに貰ったおまんじゅうあります。」
テルミ、そんなに炭水化物ばっか要らないよ。

歩くだけでダルい身体を引き摺って冷蔵庫の中を覗けば、祖父の作った野菜がぞんざいにごろごろと。あれだけ毎年律儀に色々な種類の野菜を作ってはマメに持ってきてくれるというのに顛末がこれでは（・・・ていうか、要らないならくれよ）と、祖父をやや不憫に思い、食材のターゲットをそれらに絞ってメニューを考える。

母屋に足を踏み入れた時点で既におこぼれを期待して私の周りに集まってきていた猫の大群にたかられ足に絡みつかれて転びかけ、食材を盗る隙を虎視眈々と狙うものは猫流の威嚇をして追い払い、調理台に登られて作業を邪魔されて、慣れた事とはいえ発狂寸前になりながらもどうにか事を終えて食べ物を胃に収めると、ストレスで腹痛がキリキリ。慌てて夕食後の薬を飲む。


自分が使った汚れ物を残しておくと鬼のように怒るアキの顔を思い出してさっさと洗い物を済まし、そそくさと母屋を抜け出せばすでに田舎の空は満天の星が頭上を覆い尽くす時間で、ポケットから取り出した煙草を吸いつつ自室に戻る一日の終わり。

『やっぱ自分のキッチン欲しい・・・。』

夜空に星を眺めつつそんなお願い事を頭に浮かべる自分。
切な気持ちなだけに、余計にひどく間抜けに感じる。