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カテゴリ:お題
学校自体は嫌いじゃない。 いつものように機械的にランドセルを背負って家を出る私に「登校するのは辛くないか」と訊いた際に、私自身がそう答えたと母親は言う。学校という器に罪はないのは知っていたが、母親の証言によると私は小学校時代の数年間に渡って担任ぐるみのいじめなるものを経験しているそうだ。 実は私自身は当時の死ぬほど辛かった思い出などひとつも覚えてはいないので、自分がいじめられっ子だったという被害者的な自覚はない。今でも単純に自分の性格や性質と担任やクラスメートとの折り合いが悪かったのだと思っている。 ひたすら身体はカリキュラムに引っ張られて物事をこなし人の言いつけに従って行動していて、凡庸ながらわずかに悔しかった思い出、ありがちな少しだけ笑った感触、子供心にわずかに理不尽だった仕打ち、そんなありふれたものだけが映画のスクリーンの向こう側の他人事のようにおぼろげな記憶として残りつつ、心はここにあらずの状態で時が流れるのを無感慨に見つめているうちに何日も何年も経った。 学校自体は嫌いじゃない。 ただ、数え切れないほどの回数で繰り返し繰り返し『早くあと○年が過ぎますように』と願った事実だけは鮮明に覚えている。 幼い自分が何に対して祈っていたのか。 それすらも、もう定かではないけれど。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005年06月19日 21時10分44秒
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