JFAカップ関東大会準決勝 新子安U-13vs柏
いよいよJFAカップ関東大会も決勝トーナメント。関東代表1枠をめぐっての戦いに残ったのは新子安、柏、浦和、FC東京むさしの4チーム。強豪J下部組織が揃う関東にとっては、関東1枠というのはユース年代も含め一番ハードルが高い大会だろう。新子安は2000年の新子安、2002年の追浜以来という全国大会出場を目指す。まずは10:00から準決勝。会場は駒沢公園にある駒沢補助。快晴の日で駒沢公園は犬を散歩させる人や、ランニングをする人、家族連れで花を楽しむ人などで一杯。何とも、のどかな休日の光景だが、こっちはほとんど生きるか死ぬかの瀬戸際のような緊張感に包まれている。その大一番の相手は柏。ここまで得点12、失点0という圧倒的な攻撃力で勝ち上がってきたチームで、前評判では他を引き離してダントツの優勝候補だ。とはいえ、まだ13,14の精神的にも体力的にも不安定な時期。その強さゆえにこれまで恐らくギリギリの勝負はあまり体験してはいないだろう。新子安にとっては早い段階で失点せず、無失点でゲームを進めることができれば十分に勝機はある。お互い様子を探るような出だしながら、最初の決定的なチャンスは新子安。前半8分に相場君がヘッドで落としたボールを宇佐見君がシュート。これは柏GK中村航輔君が好セーブ。さらにその2分後、宇佐見君のシュートはまたしてもGKに弾かれる。直後のCKに山田君があわせる。これはわずかにゴールを外れる。立て続けのビッグチャンスにいけるぞ!という気持ちが沸いてくるが、敵もさるもの。以後はきっちりと新子安の攻撃を押さえ込み、双方決定的なチャンスのないまま時間が過ぎる。あっという間に前半終了(午後から決勝があるため、グループリーグより短い25分ハーフ)後半も引き続き緊張感のある試合展開。ここまでの新子安の守備は正直不安定な部分もあったが、この試合はよく集中していた。ボールホルダーに数的優位を作り、柏につなぐサッカーをさせない。ボールを奪うとシンプルに柏守備陣の裏を狙う。新子安は両翼に突破力のある持田君、山田君を配置して柏の両サイドを封じる。喜田君は中盤の底できっちりと相手の攻撃の芽を摘み取る。後半は柏優位の内容だったが、新子安もよく集中しており、やられた!と目を覆う場面は作らせなかった。50分で決着がつかず試合は10分ハーフの延長戦へ。延長前半7分には宇佐見君が決定的なシュート。クリアを再びシュート。しかし無常にもバーに当たりまたしても得点ならず。宇佐見君は準決勝以後に決定的な得点を決めてくれるタイプなので(笑)、勝利を呼び込む1点を期待していたのだが、この試合は残念ながら不発のまま延長後半3分に河合君と交代。時間は過ぎるが双方どうしても1点を奪えず、PK戦かなと思い始めた延長後半終了間際。柏がPA内でGK境君と1-1の決定的チャンス。きゃー!やめーてー!いやー!やられたー!と新子安関係者はみんな思っていた場面だったが、境君がよく耐え見事シュートをブロック!試合は遂にPK戦に。隣の駒沢第二で試合を終えたFC東京むさしの選手や父兄も網の外にぎっしり詰めかけ、多くの人の視線を浴びつつPK戦が始まった。先攻は柏。一人目のシュートは、境君が手に当てるもこぼれてゴール。悔しがる境君。新子安も一人目持田君がゴール右下に決める。二人目もお互い決め、柏の三人目。ゴール上を狙ったシュートはわずかに高く、バーを直撃し真下に落ちるもゴール外。続く新子安高野君は成功。これで新子安が優位に立つ。四人目はお互い決め、運命の五人目。柏五人目の低めのシュートは角度がなく、境君が倒れこみつつきっちり弾く。よし!歓声を上げて立ち上がる新子安関係者。選手たちも境君に向けてまっしぐら。しかし喜びの輪が出来る前に、選手の足が止まる。一瞬、やり直し?と思ったが、喜ぶ選手たちをベンチの尾上監督が制したのだった。「まだ終わっていない!」 大切なのはこの試合に勝ったことではない。次の試合に勝つことが大切なのだ。一度気持ちが緩むと、大切な次の試合で泣くことになる。尾上監督も選手たちを良くやったと、共に喜び、ねぎらってやりたいところだろうが、あえて厳しく接する事で選手の緊張を保った。愛ある素晴らしい指導だと思う。(続く)<スタメン>_____野路貴之(13)__宇佐見康介(5)______持田里久也(21)______________山田融(25)_______喜田拓也(7)__相場遥介(2)______高野遼(8)__松崎颯介(19)_諸石健太(22)_岩壁裕也(4)___________境龍登(1)___________交代: 延長後半03分 宇佐見康介(5)→河合力也(6)得点: なしPK: 柏 ○ ○ × ○ × 新子安 ○(持田) ○(諸石) ○(高野) ○(野路)