夢~蘇る記憶~
1年後 春僕はあの日を境に違う町に引っ越した。誰も知らない世界でひっそりと暮らすことを決めた。相変わらず定職につかず気ままにファミレスの店員をしていた。部屋に帰りコンビニの弁当を食べゆっくりと時間がたっていくのを1人で感じていた・・・いつもと変わらぬ現状、これが僕にとっては安らぎでもあった・・・朝起き、いつものようにバイトへ。今日は新人の指導を任されていた。「指導って・・・どんな風に教えようかな~」野郎がくるか可愛い子がくるか何も考えてない暢気な奴だった。「おはようございまーす」意気揚々と店に入り制服に身を包んでいたとき店長の声が聞こえた。「おーいこっちにきてくれー」僕はのんびり店長の所へと歩いた。店長の横には女の子が立っていた。女の子を見た僕は一瞬鳥肌が立った・・・「え・・・」そこにたっていた女の子、よく似ていた・・・「今日から入った水音君だ」名前を聞いてほっとした。「水音です。よろしくお願いします」似ているが他人のようだったので安心した。とりあえず挨拶を交わし、彼女の指導をやっていた。飲み込みの早い彼女は指導する側にとってとっても楽な人物だった。バイトが終り、店を出た所で「七瀬さーん」と呼ぶ声が聞こえた。振り返るとこっちに走ってくる水音だった。「おつかれ。どーしたの?」彼女は息を整え「今日はありがとうございました。」深々とお辞儀をする彼女になぜかつられてしまい、僕もお辞儀をした。「今から帰られるんですか?途中までご一緒してもいいですか?」彼女も帰り道が一緒らしい。まぁ帰るくらいならと思い「いいよ。」と僕は了承した。帰り道でのたわいもない話をして楽しく家路に着いた。彼女によく似た水音・・・僕は彼女のことを思い出し眠れぬ夜を過ごしていった・・・続く