楽しい未来のために

インハイ予選の大会が行われた。
シード校は、４試合５試合免除される。
他は地道に１つずつ勝ち上がっていって
やっとシード校と対戦できる。

残念ながらシード校と対戦する前の
３試合目で負けてしまいました。
1･2年生のチームなのでやっぱり未熟で経験不足。
それでも試合に出る事ができない先輩たちに
試合に出てもらえるよう必死に頑張りました。

他の部活の特待生だったけど
大きな怪我をしてプレーできなくなり
バレー部の顧問が引き取って面倒見てるとお聞きした
３年生のS先輩がいます。
バレーでもプレーヤーとしてはもう無理で
レシーブやスパイクの練習もできず
1回も練習試合にさえ出た事がありません。

半年前、最初に私がみた時は、利き腕を負傷してるのか
サーブも入って無かったように記憶しています。

3年生だけどいつもみんなの為に審判をしてくれたり
球拾いをしてくれたり、裏方で支えてくれています。

殿の目標は、県大会に行く事ですが
それよりも今の願いは
そのS先輩に最後1回でもいいから
試合に出てもらうことでした。
そのためには、点差を広げておく必要があります。

チャンスは、1試合目の2セット目にやってきました。
点差もあり、あと数点取れば勝ちが決まります。
その時に顧問からメンバーチェンジの指示が。

S先輩がコートに入るとチームのみんなが
歓喜の声をあげました。
その日一番の盛り上がりに別コート選手や応援の方も
こちらのコートで何が起こったのか見ていました。

S先輩はピンチサーバーとして登場しました。
チームのみんなは、一分一秒でもS先輩にコートに
いてもらえるように必死にボールに繋ぎました。
２本のサーブを打つ事が出来ました。

殿は帰宅してこの時の事を
「本当に嬉しくて嬉しくて涙が出そうになった。
　他の人たちも涙ぐんでいた」と話してくれました。

S先輩の家族も応援にいらしてました。
まさか試合に出れるなんて、
みんなの気持ちが嬉しくてと感動していたようです。

今回の大会は、３試合で負けてしまいましたが
私はこの場面を見る事が出来たそれだけでも
満足です。
殿が本当に素晴らしいこのチームの一員で
いれる事を嬉しく思いました。

３年生は引退です。
新チームで（といってもレギュラーメンバーに
３年生はいなかったのですが）新たな目標に向かって
頑張って欲しいです。