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最近、中国人詩人Fとつるんでいるので、やはり何と言うか、やっぱり詩人のイベントに行くのである。ロンドン大学の近くの王立劇作芸術アカデミー(RADA)の地下でたまにやっている、主催者によるとヨーロッパで一番長く続いている詩人のイベントに行った。いかにも私立高校出身の主催者はちなみに高校で英文学を教えており、参加者はほとんど素人、何せ詩人じゃ食えないもんね。マイクの前で、次々と詩人が立ち朗読していく形式は、バスケットボールのたたきつけるシュートという意味のスラムダンクと同じ意味で、スラム・ポエットリーというらしい。このいかにも、アフリカ系アメリカ人っぽい命名は、「詩の朗読会」という古色然としたものとの対極だ。20人以上が読んだ。
パターンとしては、 1)ヒップホップの詩人、ただ単に音楽がないだけで基本的にマシンガンのように言葉を撃つスタイルは同じ。あの黒人のジェスチャーがないと詩は始まらない。白人が半分ぐらい。 2)ギャグ。みんなは落ちを待っている。 3)演劇と変わらないぐらい、ドラマティックなパフォーマンス。 4)可愛い子ちゃんがセックスについて語る。ディックという言葉をいうときには音量があがる。容姿に自信がないとエロ詩をやってはいけないのではないかという暗黙の了解があるようだ。 5)いわゆる現代詩、イメージのずらし方とか、言葉の連なりの面白さや、テーマの現代性で勝負。 もちろん、私はまったく絶対もって4)には興味がないことを誓うわけであるが、5)が少数派というのは、そんなもんなんだろなと思う。 友人Fは天安門事件以前にはまあまあ名前が売れていた詩人で、英国とフランスで文芸誌で作品を発表している。彼も別のイベントでパフォーマンスを中国語でやったらしい。詩の翻訳は不可能なので、原語で音を楽しむという形のほうがよいと彼は考えている。 私も一度、ポエトリー・カフェというところで即興のものを読んだことがある。実は最近、「おばあさんの知恵」みたいな本を入手して、次のようなアドバイスが並んでいたのを読み、これを俳句としてパフォーマンスしようかと考えている。 犬の汚れた毛はケチャップで洗え 髭剃りクリームが切れたらピーナツバター 頭のセットには卵の白身 Fは「何でも詩になるんだ。やれよなっ!」とのことだった。 一緒に行ったフランス人の若い女の子が、ロシア人とイタリア人の物真似をした英国人の詩人のパフォーマンスを見て「彼ってちょっといいわよね」と言うのを聞いたFは、ショーが引けた後にずかずかと近づき、「この子がお前のこと好きだってよ!」と叫んだ。まったく礼儀も段取りも知らぬ野蛮人だ。もちろん彼女は詩人と一言もしゃべれなかった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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