ここはどこだろう。もぐれない、土がない。うえに行くにも、ツルツルでつめが引っかからない。
飛んでも、ひさしで引っかかり落ちてしまう。
ここはどこ？だれか、助けて。

母「あぶないよ。そんなとこ座り込んで、はさまれるよ。なにしてんの。」
長男「いるねん。いるねん。」
母「えっ。なにが？わっ。ゴキブリちゃうの」
長男「ちがう。ちがう。コクワガタやで。」
母「ホンマ。クワガタのメスかな。指入る？」
長男「取れたで。ほら、取れたで。」
長男「父さん、クワガタのメス捕まえたで」と、走っていく。

たすかった。ちょっと痛いけどね。もうちょっとやさしく掴んでね。
でも、ありがとう、長男くん。見つけてくれて。
私は、どうやらみつえの道の駅の自動扉の下の溝の中に入ってたらしい。
あまり動きすぎたら、挟まって潰れてたかもしれない。
でも、長い間、入ってたのでちょっと疲れた。

父「えっ。捕まえたんか。すごいやんか」
長男「うん。つかまえた。つかまえた～」と、おおはしゃぎ。
「うわー。にいちゃん、すごい。すごい～」次男も混じって、お祭り騒ぎ。
父「ちょっと、弱ってそうやな。おせわできるか」
長男「できる。だいじにする」次男「ぼくも、するする」
父「そっと、虫かご、入れたりな」

父さんの持ってきた、虫かごに入れてくれた。
これから、キャンプに行くらしい。

車中、長男はジッと私を見つめて、
なんども「よしよし」って、そして「帰ったらゼリー上げるからな」
と小声で話しかけてくれた。
暑いだろうからと、カゴをクーラーの風の当たる所にもちあげてくれていた。
途中で母さんが、道の駅で買ったトマトをくれた。
次男「たべてる、やったー」長男「おいしいかぁ」
ああ、生き返る。もっと甘いのがほしいけど、助かった。

父「かわいいか？」長男「かわいいなぁ～」
父「前も探したもんな。初めて捕まえたもんな、クワガタ」
長男「すごいやろ～。すごいやろ～」
父「ほんま、すごいな。名前つけたったらどうや？」
長男「う～ん」うでぐみ。「そうする。そうする」

しばらく、父さんと長男であれこれ考えてくれた。
なんか、うれしいなぁ。今、長男はアニメのナルトに夢中らしい。
長男「よし、きめた。」

そして、キャンプから帰った日に縁日があって、虫くじの屋台でコクワガタのオスとメスが当たり仲間になった。
今は、居心地がいい土マットに入って、たまに長男とお話しするの。

わたしの名前はサクラ。名前、ありがとう。


って思ったかどうかはわかりません。＾＾）；

クワガタムシとカブトムシ