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カテゴリ:★野猿的思考★
彼女は三人兄弟の末っ子だった
クラブでは部長を務め、クラスやグループ内でも明るく、リーダー的存在 お互い必ず同じ空間に居るのだが、常にべったりの女子高生特有のものは無く、束縛し合わない心地良い関係でいた どちらかに何かがあった時には、必ず相談し合い、涼の暴走を穏やかに止められるのはいつも彼女だった 彼女の一番上のお兄さんは障害を持っていた 様々な話を聞きもしたが、特に何も言わなかった 正直、興味が無かった 対人関係を上手にやっていく事が苦手で、時々混乱し、暴れてしまうお兄さんの事を彼女は時々話していた そう… 興味が無かった ただ… 『痛いんだろうな』 そう思った 自分を攻撃してしまうお兄さんを見て、痛いんだろうな どうしようも無かった事を話す事で吐き出してんだろうな そう思いはしたが、可哀想だとか、元気付けてやろうとか… 他のメンバーの一人が、えらく張り切って言って来る事がウザかった (過去の涼はちょっぴりヤンチャくれの冷めたガキんちょでした (;^_^A アセアセ・・・) 彼女が言いたい時に、言いたい事だけ吐けばいい 可哀想な事など何も無いし、人は皆それぞれ不得意分野を持っている 皆、それぞれが、それぞれの環境を受け入れ、やっていかなきゃならない それに、対人関係を上手になど、私にだって無理だ(その頃は特に…) 皆が自己保身に走り、平気で人を傷つけるような世の中で自分を攻撃してしまうというお兄さんを「障害者」という単語が当てはめられている事が、それに対して慰めの感情を持つ事が理解出来なかった 私は彼女が好きだ♪ それだけだった 他の同世代の仲間たちには無い包容力を持つ彼女が好きだった それを育てたのは何か… 解っていた 大人に対し、完全に不信感を持っていたガキんちょで教師嫌いの涼が高校を卒業出来たのは彼女の存在のお蔭でもあった 卒業前にお父様を亡くした彼女は進学を断念した その頃の涼は何かを懸命にする事がバカらしくて仕方無いと「冷めたお子」だった 専門学校にでも行って、何となく過ごすと何処かで思っていた 甘えているのだと言われた 力の出し惜しみをするなと… 普段、お互い、自分の決めた事には干渉しないという暗黙のルールを彼女が思いっ切り破ってきたのは、どうしても納得いかないと教師とぶつかり、「こんな学校辞めだわ」と早退した日の事だった もっとちゃんとしなと、涙を浮かべて言われた 彼女は就職し、大学進学を機に、涼はまるで家出の様に地元を出た それでもお互い、疲れた時には受話器を持っていた 「何してるん?」 「別に~」 「元気やろ?」 「もちろん^^」 お互い同じ様な事を言い合い、笑いながら受話器を置く 電話口からの声が泣き声だな…と感じた時もお互い相手が言うまでは強がり合った その彼女が照れ臭そうに結婚を意識している男性が居る事をぶっきらぼうに話してくれた お兄さんの事をまだ話していない、どうしようかと考えてると話していた 「好きにしなよ^^」 「だね」 ―続― お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004年09月25日 17時32分43秒
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