腰の曲がったおばあさん
腰と足の曲がったお婆さんが、杖をつきながら赤十字に来ました。一歩一歩ヨロヨロと歩いてきたお婆さん。腰はひらがなの「つ」の字のように曲がっていました。 赤十字の入り口に着くと、手にしたシワシワの1000ドン札(8円)を出されました。薬を買いに来たようでした。 職員のお姉さんが、「お婆さん、お薬は、1500ドンよ。」と言うと、お婆さんは、「おぉ、そうだっかかね。じゃあ、もう500ドン」と、震える手で、更に500ドン札(さらにクシャクシャ)を出されました。もう一方の手に持っていたのは、残り500ドンでした。 お姉さんが薬を取りに行っている間、お婆さんは、入り口にペタンと座り込んで、キョロキョロされてました。僕が、「足、疲れましたか?大丈夫ですか?」と声をかけると、ニコニコしながら、ウンウンうなづいてくれました。もう85歳以上の方でしょうか。 薬を受け取ると、お婆さんは、またヨロヨロと、歩いて行かれました。僕は、とても気になってしまい、赤十字をお婆さんが出られても、しばらくその姿を追いに行ってしまいました。 途中、自転車に乗った子供達や、歩いている牛に抜かれていくお婆さん。曲がった腰のおかげで目線は、1mくらいの所にあったでしょうか。下を向いたまま歩き、時々立ち止まり、前を確認しては、また下を向いて歩いて行かれました。何度か、立ち止まり、歩き出す前に、後ろを振り返り、僕と目があうと、また一歩一歩、歩いて行かれました。 僕は、自分の祖母を思い出しました。一昨年、亡くなった祖母。祖母は、倒れて入院するまで元気に自転車でウチまで、娘である母親に会いに来るほど、元気でした。しかし、ある日、倒れて入院したたま、帰宅する事はできませんでした。 その祖母よりも、さらに皺の多いお婆さんが、歩いて来られ、僕は、何とも言えない気持ちに包まれました。 僕に出来る事、やってみます。