出勤前。ふだんなら睦まじい家族のひととき。
ダーリンのスマホに、いかにもシロートっぽい
なまめかしい女性の写真を見つけた。
どうしてエエんか分からず、
とりあえず一人家を出て、職場に向かう。
通勤用の車は残して、そっと出てきたんで、
ダーリンはまだ気づいてないらしい。
これからどうしようか。
電車に乗って、どっか行こうか。
けど、いつまでもこんなことしとってもなぁ…
問い詰めたら、
ごめん、実は…
とか言われて、気位だけは高いアタシは
浮気なんかされとった自分を認めたくなくて、
そんなことなら、アンタなんか
その女にくれてやるわッ!
なんちゅう展開になって、
もう後戻りできんなるんかな。
バッグの中から、スマホのバイブが伝わってくる。
ダーリンやな…
無視した。
しばらくしたらいったん切れて、
またすぐにかかってきた。
無視した。
3回繰り返した。
はいはい~って出たら、
なんや、そんなことやったんかぁ~!
って展開に、たぶん、なる。
けど、もしも・・・
そう思ったら、どうしても、出られん。
気ぃついたら、職場に着いとった。
まだ、誰も来てない。
そらそうや、まだ始業時間の1時間以上前や。
今日は、仕事すんの無理やろなぁ…
休暇願を書いて、上司3号のデスクに置いた。
どっか一日時間つぶせる場所、あるかなぁ。
映画…見る気にもなれんしなぁ。
とりあえず、駅に向かうか。
・・・その前に、オシッコ…
トイレから出てきたら、
誰もいないはずのオフィスに黒い人影。
ダーリン…
ひいちゃん! よ、よかったぁ…
ダーリンは、ひいちゃんの足元にぺったんと座り込んで
心配したよ~!
気ぃついたらおらんなっとるし、
電話出てくれへんし…
イオンにもおれへんし、
駅にもおれへんし、
家とココの間3回往復しても見つからへんし、
ひいちゃん、変な気ぃ起こしたんやないかって…
言いながら、子どもみたいにえぐえぐ泣いとる。
泣きながらよぉそんだけしゃべれるなぁ。
最後に、オフィスの自動ドア、
手でこじ開けてみたら開いたんで入ってきたらしい。
そして立ち上がり、ひいちゃんの顔を覗き込んで
ひいちゃん、誤解や!
いや、それより、ごめんよぅ、
イヤな思いさせて…
職場で、人間ドックに行く話をしとって、
メタボの話になって、
やっぱり、これくらいクビレとかんとアカンでぇ!
とか言うて
スマホで検索した画像で笑いあっとったのだとか。
・・・しょおもな。
休暇願を破り捨てて、改めて自分のスマホ見たら、
ダーリンから必死のショートメールが
いっぱい届いとった。。。
とりあえず、アタシも膝カックンするくらい、
ほっとしたんや。
その時は…
けど、またすぐに露わになる黒い疑惑。
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