いよいよ、本格的な鍋物シーズン到来！
・・・と言うても、
ひいちゃんチでは通年、鍋物が登板します。
なんてったってラクちんぽん。
冷蔵庫の余りもんぶっこむだけ。
しかも、野菜もたっぷりとれるし、
ザ・激安食材、もやしを大量投入したら、お財布にも優しい。
なんという、優等生的料理なんやろうか。
この季節になると、ダーリンがそわそわしはじめる。
ひいちゃんがキッチンに立ち、
大根を厚めに切って皮をむき、
面取りなんぞ始めようもんなら
おでん！？ おでん！？
背後で、尻尾をぱたぱたさせながら歓喜の舞。
今日は、まだアカンで！！
冷たく言い放つひいちゃん。
おでんは、数日間煮込んでからの方が絶対にウマい。
箸を当てるだけですっと切れるほど、柔らかくなった大根。
その、断面から垣間見えるお出汁の沁み具合・・・
くうぅぅぅ、たまらんね。
沁み沁みのおでんを完成させるには、
毎朝、きっちり火を通す。
コレを怠ってはなりません。
いつぞや、お好み焼き屋でおでんを食べた。
足元のおぼつかんジイサマが、
手ぇぷるぷるさせながら生ビール運んでくるサマを見て、
最初からイヤな予感はしてたんやけどな。
ストップモーションアニメをひとコマずつ再生しとるような
ジイサマの動きを見とったら、
お好み焼きの完成まで三日ほどかかるんやないかと思ったんで、
とりあえずツナギにおでん！
大根と、コンニャクと、厚揚げね。
おお、もう何日も煮込まれ続けたその風情。
さぞや、沁み沁みでウマかろう。
カンパ～イ！！
ジョッキを合わせ、ぐびっとやったあと、
嬉々としたダーリンとおでんをほおばった。
口いっぱいに広がる、さわやかな酸味…
・・・ん？
いや、不愉快な刺激・・・・
あかんやろ。
地味ぃ～に、傷んでるやん。
いや、ちょっとした事故やで、これは。
アタシもかつて味わったけどな、
火入れが甘くて、鍋ごと廃棄処分する屈辱。
イモが敗因やったらしい。
アイツは、ウサイン・ボルトと勝負はれるほど
足が速いらしい。
さて、今回もおでんを仕込みはじめてから３日目を迎えた夜、
ダーリンは『今夜こそはおでんが食える!』スイッチ・オン！
さらに、アクセル、フルスロットル。
けど、ひいちゃんが用意してたのは、しゃぶしゃぶセット。
お買いものしてたら、山形産黒毛和牛と目が合うた。
今日はお肉のお買い得デーらしい。
お給料ももろたとこやしな、
ええい、今日は大奮発や！！
豪華和牛を見た瞬間、
え、ええええええぇぇぇ～・・・
膝から崩れ落ちるダーリン。
オトコは、じらされると燃えると言うからなぁ。
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