魔法の台所
ばあばんとこの冷蔵庫には、不思議がいっぱい詰まっとりますが、キッチンの戸棚にも、不思議を通り超えて、天国が詰まってます。戦前からあったみたいな風情の缶詰なんか、驚くに値しません。いや、実際、ばあばんチは築20年も経ってないんで、戦前の缶詰があるわけないんですが、ラベルもハゲハゲ、缶はサビサビ、すでに中身が何なんかもわかりません。気持ち悪いんでそっと捨てとくんですが、いつの間にかまた戻ってきます。ばあばんチの缶詰には、帰巣本能があるらしい。 コレ、こないだほかしたのに!ひいちゃんが言い捨てると、 あれ、なんでやろ?したたかなクソババであります。 もぅ、どうせ食べられへんし、ほかすで!言うても、そのままゴミ袋へポイというワケにはいきません。ちゃんと分別せなあきません。こないだは、それがめんどくさいんで今度まとめてやろ!と思て、そういう類のモノばっかり保管してあるコーナーにそのまま置いといたんがアカンかった。夜になったら缶詰に足が生えて、てくてく戸棚へ戻ってきよる。・・・そんなわけないやろ、クソババ。しゃない、今日は意を決して、やるで!缶切りを取り出し、ハゲハゲサビサビの缶に切り込んだ!! おえええええええぇ~ッ!!強烈な臭気であります。化学兵器並みの殺傷力!・・・缶詰でも、こんなんなるんか?熟成された、・・・・何モノ!?すでに、正体も分かりません。ばあば、コレどないするつもりやったんやろ。じいじに食わせる気ぃやったんか。おおおお、恐ろしい・・・ああ、しょおもないことに煩わされて、肝心のこと忘れとった。 味噌、もろて行くでッ!そうや、味噌盗みに来たんやった。 味噌、味噌・・・確かこの辺に・・・この戸棚、上の段はひいちゃんでもギリギリ手が届くくらい。奥の方は、脚立でも持って来んとムリですが、物置行って脚立取ってくるんもめんどくさいんで、必死で手ぇ伸ばして探っておりました。けど、コレもなかなか勇気のいる行為です。いつ、ミイラ化したゴキブリをキャッチせんとも限りません。と、指先に思いがけない感触・・・ なぁ、ばあば。 うん? これ、なによ?ばあば、驚愕の表情! ええッ!! アンタ、グローブしらんの!?知っとるわッ!なんでこんなもんがここにあるんか、ちゅうてんねん! ああ、ソレな、サトシが宿題せんと遊んでばっかりおるさかい、 隠しといたってん!・・・って、なんでキッチンの戸棚よ!?更には、線香&ローソク。じいじがあの世に行ったら、位牌はこの戸棚に安置されるんやろか・・・ゴキブリにかじられながら・・・合掌。・・・あ、まだ生きとった。にほんブログ村……応援して下さったらうれしいです♪