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以前、エルサレム授賞式出席の際の日記にも書いたが、私の読解力に も起因するのだろうが村上春樹氏の作品にはどうも馴染めずに今日まで きている。「1Q84」がベストセラーになっているというニュースを 見聞きしながらも、「多分(少なくとも直ぐには)自分は読まないな」 と思っていた。 昨日付けの読売新聞朝刊に氏のインタビュー記事があるのだが氏の思 考様式の一端を垣間見た感じがして面白く読ませていただいた。氏の、 1960年後半以降から今日までのマルキシズムの衰退の中で、「現在」 が新たな対立軸である「新しい物語」を見出せず、迷走する世界的な 「状況・現象そのもの」を、捉え直し語るという絞られた視点には注目 したい。原理主義の台頭・グローバリズムと情報化社会による個の侵食 ・シャーマニズムへの傾倒・・・これらはその対立軸の欠けた迷走故の 硬直化した「知」の断片的集積と単純化(思考停止?)がもたらしたも のだと思うが、「1Q84」もそのあたりの考察が背景になっているの かな?と推察している。現在、読みきれずに自宅の本棚にストックされ ている本を片付ける頃には増刷されて書店に並ぶだろうから読んでみた いなとは今思っている。
インタビューを読んだ限りの感想だが、政治的・思想的な事を語って も「氏は小説家なのだな」と、あたりまえだが強く感じた。物語の語り 手として秀逸である事は疑う余地は無いが、「新しいリアリズム」とい う観点そのものが情緒的で、文章化が自分の知を一般化する作業である ならば、大元の氏自身の「リアルの捉えかた」に大いに興味を惹かれる。 柄谷行人氏が村上春樹作品群に対して批判的らしいが「さもありなん」 という印象を受けた。 これはどちらが正しいとかいう事で無く、立ち居地の客観的対比の印象 である事を付け加えておく。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.06.17 10:17:37
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