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2010.08.08
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カテゴリ:映画

以前に映画館で「サマーウォーズ」を観て来た家内と長女に「観て

おいた方がいいよ」と言われていたのが今日まで引き伸ばしになり、

TVでの鑑賞となった。

 

批判を受けるのは覚悟で書くが、私はIT産業等というものは未だに

「虚業」だと思っている人間だ。特に日本人と日本語という特殊性

に頼った日本のIT産業などITとも呼べぬと考えている。

三十数年前にボードマイコンに触った事に始まり今日まで、私自身

には理系的イノベーションは無く、専ら個人的コミュニケーション

ツールとしての役割しか見出せていないコンピューター音痴だが、

ずっとコンピューターを取巻く社会の方を見続けてきた。

 

道具であるコンピューターが使用者たる人間に不便不利益を齎すと

いうモチーフの映画は世界に枚挙の暇が無い。その殆どがSFアクシ

ョン的なもので、僅かばかりに人類の愚かさに触れる程度で技術的

にも内容も稚拙なものが多かったと思う。

「サマーウォーズ」はそんな映画群にアニメの形をとって、日本映

画らしく一石を投じた作品だと思う。

 

道理を弁えた家長である「お婆ちゃん」の下に集まる大家族と、彼

らが使命感をもって関わる社会の包摂性の愛おしさ。社会システム

が電脳化され国家のガバナンスがどうであろうと「腹が減り」

「一人ぼっち」である事が人間の不幸である事は代わりがないと

「お婆ちゃん」は言う。

人は元来弱い存在だが、同時に1人の老女の「あなたならやれる!

 大丈夫! 頑張りなさい!」という言葉だけで頑張れる強い存在

でもあるのだ。

結局、最後まで人、人、人。実際、本当は初めからそこには人しか

居なかった事に我々は気付かされるのだ。人間が行い、人間が誤り、

人間が解決するだけの事なのだ。

インターネット、ゲームというシステムや装置はあってもインター

ネット社会、ゲーム社会などという社会は現実には存在しない。

人間の生活する社会の一部を捉え切り取っては利益・権力を得よう

とする者(やはり人)が虚言を弄して作り出し我々に思い込ませる、

映画的電脳世界と同質の空想の社会だ。

そういう「思い込み」さえ無くなれば、もっと自由に空想的人間社

会を楽しめるのにと私などは残念に思う。

 

この映画の主人公達が武田家の末裔であるという設定も奮っている。

作者の意図もそこにあると思われ、武田節がBGMで流れなかったの

が不思議なくらいだ。

「・・・人は石垣 人は城 情けは味方 仇は敵・・・」

動かざること山の如き「お婆ちゃん」の「あきらめてはいけない」

と言う言葉も武田武士の本望であったのだろう。






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最終更新日  2010.08.08 13:09:22
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