テーマ:読書の愉しみ(1002)
カテゴリ:読書
震災以降、何とか仕事はこなしているのだが、帰宅してから被災地や原 発関係のテレビ番組を流しっぱなしにしたまま、何も手につかずに就寝 する日々が続いている。 明らかに自分の心の作業領域が激減している事に気がつく。 現地で被災された人々から見ればだらしの無い事この上なく、申し訳な いのだが、今回の大震災の齎した惨劇は確実に私の心に大きなダメージ を与えた。
平行して読みかけだった本が数冊机の上に積んであるのだが、未だに開 く気になれない。何とか気分転換をしようと昨晩に急に思い立って書棚 の整理を始めた。もう読む予定の無い本*家族分は結構な冊数になる。 柔な家なので耐震の為の軽量化にも寄与するだろうと思ったのだ。 今回取り上げた本はその時に出て来たものだ。
「一年一組せんせい あのね」 鹿島和夫編 理論社
見覚えの無い本を手にして少し読み始めた。 そこにあったのは小学校一年生の子供達の書いた詩・・・読み進むうち に涙が出てくる。 何なんだ此れは! 家内に聞いたら末娘が幼稚園の精勤賞で貰ったものだというから15年 程前の本だった。 児童文学者で教育評論家であった灰谷健次郎氏が監修をしているらしい この人への評価は賛否両論あって、後年の社会活動や政治的活動に思う 処はあるが、そんな事はどうでもいいのだ。 此処には、子供達からの大人達への珠玉の言葉としての「手当て」が燦 然としている。感傷的に子供の無垢さを語る訳では無い。子供は時に残 酷であり無遠慮な怪物だ。 だが、それだからこそ真っ直ぐな彼等の視線と言葉が私の心を打つ。 ささくれて沈んだ心に「守るべきもの」を再認識させ、躍動を再生させ てくれる。 どうしても現在の悲劇的な状況とリンクさせてしまうのだが、彼等のシ ンプルな願いや思いが「救い」となり、「癒し」となる様に感じた。
当然だが、この本はブックオフ行きを免れた。 そろそろ私も普通の生活を取り戻さねばなりません。
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